中学生に上がる時や中学の学年が上がるタイミングで、塾に行くか進研ゼミやZ会などの通信教材にするか迷うケースは多いと思います。
友達の中でも塾に行き始める子が増えてきて、自分の子どももそろそろ行かせないと、、、と焦る親御さんもいるかもしれません。
もちろんそれぞれの子どもの学習レベルやキャラクターにより変わってくるので共通の正解はありません。
ただ、親としては子どもの性格や学力に加え、「教育費」の点も考慮して判断していく必要があります。
そこで今回は、「塾か通信教育か?」というテーマについて、学習能力育成、教材、教育費、という点から考察してみたいと思います。
さらに進研ゼミとZ会を選ぶ際のポイントも紹介しています。
子どもに必要な「学習者能力」とは
最初に、私「とあるサラリーマン」の経験から1つのモデルをお伝えすると、少なくとも中学1年~中学2年までは進研ゼミかZ会、中学3年生になったら塾で受験対策、というのが1つの正解になるのではないかと考えています。
中学受験をしない限り、小学生のうちは通信教育か「教科書ガイド」で十分です。
というのも、子どもたちは各教科の学力の前に、まずは自分で学習する力=「学習者能力」を身につけなくてはならないからです。
勉強の初心者である小学生が最初から塾に通ってしまうと、自分で計画を立てて学習を進める、という自立性を養うことが難しくなるケースがあります。
自立的に勉強を進めるには、「自己分析力」 「目標設定力」 「実行力」が必要になります。
自分は算数が苦手だから夏休みの間にプリントを全部やり直そう、といった分析と計画を立てて、実際にそれを実行する、といったことです。
早い段階で塾に通うと、全て先生が進めてくれるのでそれに慣れてしまい、自分で考えたり振り返ったりする習慣が身につかなくなってしまう可能性があります。
そのため、小学校や中学1~2年生頃までは自立学習者として自分で学習を進め、中学2~3年生になったら受験を見据えた学力向上のため塾に通うのがおすすめです。
もちろん、通信教育だけでそのまま受験を乗り切る「学習者能力」と「自信」があれば、塾に行く必要はありません。
もう一点重要な点として、やはり教育費も考慮しなければいけません。
まだ子どもが小学生くらいですと先の話に思えると思いますが、多くの子どもが最終的には塾に通うことになり、大学を卒業するまでの学費と合わせるとその合計はかなりの金額になります。
それも踏まえると小学生や中学生のうちは、できるだけ教育にかかる費用は押さえておくのが賢明です。
それでは次に、実際に教育にいくらくらいかかるのか、検証してみたいと思います。
大学卒業までに支払う学費
学費について、文部科学省が令和元年に発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」を見てみましょう。
あまり意識することはないかもしれませんが、公立の小学校で支払う教育費用(給食費含む)の平均は、1年間で106,830円です。
この中の半分弱が給食費ですね。
これを単純に6年間で計算すると640,980円となります。
結構払ってますよね、、、
同じく公立の中学校では、給食を含む学校教育費は1年間に181,906円、3年間で545,718円となります。
その後公立高校に進んだ場合、1年間の教育費は280,487円となり、3年間では841,461円となります。
ただし高校の場合は、「高等学校等就学支援金制度」、いわゆる授業料無償化制度により実際は大幅に軽減されることになります。
次に大学を見てみましょう。
2021年度では、日本国内には788の大学が存在します。
大学になると学部、在籍年数、国立私立など実に多様な形態がありますが、ここでは標準的なモデルとして「国立大学文系・理系」 「私立大学文系」 「私立大学理系」の3つを確認してみます。
国立大学の学部は文系理系で費用の差はありませんので、1つの扱いとしています。
国立大学はやはり私立と比較すると半分程度であることがわかります。
国立大学の場合は文系も理系も同じ学費で、東京大学も北海道大学も九州大学も同じです。
そう考えると、国立大学の理系は非常にお得だと言えます。
反対に私立大学の理系は負担が大きく、これが下宿となると親の負担はかなり大きなものになります。
国立大学と違って私立大学は各大学によって増減がありますが、最も有名な大学の一つである早稲田大学から文系は政治経済学部、理系は理工学部の学費を引用しています。
一般的な4年生の私立大学は概ね同じ水準ですが、1年間の留学が必須になっているような大学などでは、さらに費用が追加されるケースもあります。
仮に小学校から高校までを公立に通ったとして、大学までの費用を合計すると、国立大学の場合は4,453,349円、私立大学文系は6,303,759円、私立大学理系は8,400,159円となります。
この費用は、単純に学校へ納める学費となりますので、教材や研修費、修学旅行など都度払うものもあり、さらに兄弟姉妹のことも考えると冷汗が出てきますね。
さらに今回のテーマである塾や通信教育などにかかる費用も加えるとだんだん頭が痛くなってきそうです。
塾代は個人塾から大手系列校まで様々ですが、概ね中学生で年間20~30万円程度、高校生で年間30万円~50万円程度です。
大学合格までに塾代だけでも100万円を超えるくらいの費用が掛かるわけです。
このように教育費から考えると、小学生くらいのうちはできれば「教科書ガイド」、やる気がある子は通信教育で十分なのです。
さらに、中学生になっても可能なら通信教育、塾に通うにしても中学3年生から、もしくは中学2年生の夏からが理想です。
それではここからは、通信教育や塾のそれぞれのメリットデメリット、さらに通信教育の定番である進研ゼミとZ会についてご紹介します。
塾のメリット&デメリット
まずは塾のメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
- プロの先生に教えてもらうことで成績を伸ばしやすい
- 強制的に毎週決まった時間に勉強する環境ができる
- 自習室を使ったり空き時間に質問することができる
- 競争、協調など同じ目的の集団で発生するプラス要素がある
塾のメリットは何と言ってもプロの講師に習うことで成績を伸ばしやすいことです。
そのため、講師が学生バイトだったり合わないタイプだった場合は、費用分の成果を得ることができているかしっかり考えた方がいいでしょう。
また、子どものタイプによっては家で勉強が続かない子も多くいます。
そのような場合は、自由に自習室が使える塾があると大きなメリットになります。
また、塾によっては成績表を張り出したり、成績順に座席を決めるケースもあります。
性格によりますが、子どもにとって「競争」という要素は、時として大きくプラスに働きます。
デメリット
- 先生の当たりはずれがある
- さぼっていても親からは分かりにくい
- 中学生以上は帰りが遅く送り迎えが必要な際もある
- 費用が高い
塾のデメリットは、塾代が高いことと帰りが遅くなることです。
中学性以上の場合は、21時に終わることも珍しくないため、特に女の子の場合は送り迎えが必要となるケースもあります。
さらに帰りが遅くなることで睡眠時間が減り、授業中に眠くなるといった本末転倒の状態にならないように注意する必要があります。
通信講座のメリット&デメリット
続いて通信教育のメリットとデメリットを見てみます。
メリット
- 自分の都合に合わせて好きな時間に勉強できる
- 5教科に加え、技能教科のテスト対策もできる
- 部活や他の習い事と並行して取り組むことができる
- 紙とタブレットから好きな方を選べる
- 費用が安い
通信講座は学習者の意欲、学習する能力に依存する部分が大きい学習方法です。
自由に学習時間を設定できる反面、それはそのままデメリットになってしまう可能性も潜んでいます。
最近は大手の教材は質が良く、5教科に加え実技4教科のテスト対策もできるため、内申点が大きな比重を占める公立高校にも向いています。
何よりも費用が安いのは親にとっては助かります。
デメリット
- やる気がないと教材が溜まってしまう
- 質問したいときにすぐに質問できない
- 親が進み具合をチェックする必要がある
一度ため込んでしまうとなかなか追いつけなくなるのが通信教育のデメリットです。
毎月課題をこなすためには高いモチベーションを維持する必要があるため、親が時々様子を確認する必要があります。
進研ゼミとZ会に共通するメリット
それではここから2大通信教育教材である進研ゼミとZ会の中学講座を比較してみたいと思います。
基本的に通信教育の中で2強と言っていいほど有名な両社ですので、教材の質は非常に高くデータも豊富です。
実は受講者数で比較すると、進研ゼミ中学講座は42万人、Z会は5万人と進研ゼミが圧倒的に多くなっています。
私も3人の子どもがそれぞれどちらか一方、もしくは両方を経験していますので、実際に子ども達から聞いたコメントも含んでいます。
まずは共通する項目をあげてみました。
- タブレットか紙のテキストかを選べる
- 5教科に加え実技4教科の定期テスト対策ができる
- タブレットの場合はAIを利用して弱点対策ができる
- 全国模試や実力テストを定期的に受験できる
- 毎月添削課題があり提出するとポイントが貯まる
- 24時間質問ができる体制になっている
- (ただし回答は早くて翌日のため、質問した際の感覚を忘れていることもある)
それではここからは、それぞれに特有のメリットデメリットをご紹介します。
進研ゼミ中学講座ならではのメリット&デメリット
【進研ゼミ中学講座】メリット
進研ゼミならではのメリットには次のようなものが挙げられます。
進研ゼミの教材は、長年培ったノウハウと膨大な量の学習データを基に製作されています。
- 紙とタブレットを両方使えるハイブリッドコースがある
- 一回当たりの学習時間が15分程度に設定されているため脱落しにくい
- 6か月以上継続すればタブレットが自分のものになる
- 月4回のオンラインのライブ授業がある
デメリット
反対にデメリットとしては次のようなものがあります。
- 難関校を狙うには追加料金が必要になる
- 5教科セットのため1科目ずつ選択することができない
Z会中学コースならではのメリット&デメリット
Z会と言えば、通信教育でありながら「東大生の3人に1人はZ会卒」と言われるほど難関大学、高校に強い教材として確固たる地位を築いています。
実はその歴史は進研ゼミよりも古く、「良問と添削」をモットーに多くの受験生に支持されています。
Z会ならではのメリットとしては次のような項目があります。
メリット
- レベルの高い高校に対応している
- 中学1年生から入試を意識している
- タブレットコースでは全学年の映像授業をいつでも見ることができる
デメリット
反対にデメリットとしては次のようなものがあります。
- 進研ゼミよりも料金が高い
- 学習者のレベルが低い場合は課題をこなせず挫折してしまうことがある
進研ゼミとZ会の選び方
ここまでそれぞれの特徴を紹介してきましたが、それでも進研ゼミかZ会か迷う方は多いと思います。
まずは費用の面で比較してみると以下のようになっています。
料金面では、進研ゼミに軍配が上がるようです。
タブレットコースを12か月払いで受講する場合で比較すると、進研ゼミの方がひと月あたり1,545円安くなります。
1年間にすると18,540円となります。
それでも塾に比べれば両社とも圧倒的に安くなっていますので、このくらいの差であれば子どもに合わせてしっかり選んであげたいものです。
教材として最低限必要なポイントはしっかり抑えている両社ですが、迷う場合は次のような項目で比較してみてください。
それでもどうしても迷う場合は、中学1年で半年ずつ受講してみるのもおすすめです。
進研ゼミ
- 確実に教科書を理解し、しっかり定期テスト対策をしたい
- 部活も力を入れているので時間が限られている
- 付録や読み物がたくさんあるとうれしい
Z会
- 現在もレベルが高く難関校を目指したい
- 自分で確実に課題をこなしていくことができる
- たくさん演習を解き応用問題にも取り組みたい
以上、教育費の観点から塾と通信教育を比較してみました。
教育費については、学校にかかる費用と学習にかかる費用を中心に紹介してきましたが、実際にはこの他にも習い事をするのが一般的です。
そのような費用も含めると果たして無事に大学まで送り出せるのか不安になります。
親は一生懸命節約に励むわけですが、一般家庭の節約術についてはこちらの記事もご覧ください。
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