みなさんこんにちは、ビジネスパーソン教養講座へようこそ。
2021年10月、Facebook社が社名変更を発表しました。
その新しい社名が「Meta(メタ)」ということですが、この新社名が「メタバース(metaverse)」の「Meta」であると知っていた人はかなり感度が高いと言えると思います。
メタバース?、、と聞いて一体何のことやら全く見当もつかない方も多いと思いますので、今回は「メタバース」についてご紹介します。
メタバースとは
メタバースとは、オンライン上に構築された3DCGの仮想空間のことです。
もともとは英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語として生まれたと言われています。
ユーザーはアバターをつくってその空間に入り込むことで、世界中の他のユーザーとコミュニケーションを楽しんだり、メタバース内で展開されるショップで買い物をしたり様々なコンテンツで遊んだりすることができます。
一見映画の世界のように感じるかもしれませんが、任天堂から発売され爆発的な人気を集めた「あつまれ どうぶつの森」もメタバースの1つです。
また、覚えている人の方が少ないと思いますが、2003年にアメリカでリリースされ一時期日本でも話題になった「セカンドライフ」は、まさにメタバースの世界を実現しようとした試みでした。
メタバースはスマホに代わる将来のプラットフォームと考えられ、旧Facebook社に代表されるように多くの企業が注目しています。
社名をMetaと変更したザッカーバーグ氏は「FBを創業する前から作りたかった」と語り、将来は数十億人の人が、数千億ドルの買い物をする場になるだろうと強調しています。
実際に多額の資金を投入することを計画しており、メタバースに全てをかけるという意気込みを表明しています。
(ちなみに旧Facebook社の社名変更の背景には、個人情報流失事件など米国内で批判が強まっていた事情もあり、企業イメージを一新する狙いもあるようです。また、日本国内の法人は、当面Facebook Japanのままということです。)
メタバースの例
国内のメタバースのイベントとして、2019年にソフトバンク社が行った野外ロックイベント「フジロックフェスティバル」のバーチャル化が挙げられます。
ソフトバンクの5G基地局を会場に設置し、自宅からでもバーチャル会場を行きすることができるようにし、仮想空間で会場の熱気を体感できるというものでした。
現地の会場にはセンサーが多数設置され、会場のリアルな人数や盛り上がりをデータ化し、バーチャル空間上にも同じように反映されていました。
これによりリアルなライブ映像に加え、まるで現実世界を歩いているような感覚を楽しめる空間が作られました。
メタバースの実現に5Gも大きな役割を果たしているわけですね。
最新の事例としては、やはり旧Facebookが挙げられます。
兼ねてからVR事業に注力していた同社は、VR大手のOculus社を買収しており、そのVR技術を活用したメタバース・サービス「Horizon Workrooms」を2021年8月に開設しています。
このHorizon Workroomsは、バーチャル会議などビジネスでの活用が想定されています。
参加者は身振り手振りなどを通じてアバターを操作することが可能で、端末をペンのように使って図を描き参加者で共有するなど、実際の会議に近いコミュニケーションを仮想空間で行うことができるようになっています。
なぜメタバースが注目されるのか
なぜ今これほどまでにメタバースは注目されているのでしょう。
その理由は将来的に非常に大きなビジネスの市場があるからです。
冒頭の通り、旧Facebook社が社名まで変更して力を入れているのを筆頭に、同じく米国内の大手企業はもちろん、日本国内でもメタバースに注目している企業が多くあります。
大きなところでは、ゲーム事業で有名なグリー株式会社が今後数年でメタバース事業に大規模な投資を行うことを発表しています。
実際にグリーは、個人ユーザー向けにバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」の運営や、法人向けに3D CGやXRテクノロジーを活用したメタバース構築プラットフォーム「REALITY XR cloud」を展開しています。
このようにメタバースが先行しているのはゲームやライブなどエンタメ分野ですが、今後は小売り業や医療、教育など社会生活全般に及ぶと予想されています。
これまでwebの世界で巨大なプラットフォーマーがしのぎを削ってきましたが、その覇権争いが既にメタバースの世界で始まっているのです。
メタバースと関連の深いテクノロジー
メタバースの発展と切っても切れない関係にある技術がいくつかありますが、ここではその中心となっている2つをご紹介します。
4-1.NFT
NFTとはnon-fungible tokenの略で日本語では「非代替性トークン」と言います。
これだけでは全然わかりませんね。
先に「トークン」についてですが、これは「証拠品」といった意味を持つ単語で、ブロックチェーン上で発行される独自の価値を持つデジタルデータのことです。
ブロックチェーンとは、「分散型台帳技術」のことですが詳しくはこちらの記事をご覧ください。
かんたんに言うとNFTとは、他に替えのきかないアイテムの所有権を示すために使われるデジタルデータの一種です。
例えば、既にNFTで取引されているものとしてアート作品があります。
テニスプレーヤーの大阪なおみ選手は、姉のまりさんと一緒にNFTでデジタルアート作品を販売したことで話題になりました。
このようなデジタルアート作品は従来はコピーが簡単でしたが、NFTを紐付けることで所有権を持っていることが証明できるため、唯一無二の本物として価値を担保することができるわけです。
NFTの購入者は別の誰かへ転売することも可能となるため、今後あらゆるコンテンツがNFTで売買されていくことが見込まれています。
ところでこのNFTがメタバースとどのような関係があるかというと、仮想空間での取引にNFTを使うことができるのです。
メタバースとNFTが組み合わされることで、より多様で大規模な経済活動を仮想空間上で行うことができます。
仮想空間というバーチャルな世界で取引を行うにはその安全性を確保することが重要ですが、購入した商品をNFT化することで自分の所有権が保証され、さらに多くの取引を行うことができるようになるわけです。
4-2.VR
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)を総称して「XR(クロスリアリティ)」といいます。
中でもVRはメタバースを発展させる技術としてさらに期待が高まっています。
実はVRの歴史は古く、これまでも旧Facebook社を始め多くの企業がVR事業に多額の投資を行ってきました。
皆さんも、頭に取りつける大きなゴーグルを見たことがあると思いますが、まさにあれですね。
あまり知られていませんがyoutubeも既に2015年にVR動画の配信に対応しています。
ところがVRはこれまでのところ「何か目新しいもの」という域を超えず、一般化されるに至っていません。
その大きな理由は年齢性別を問わず多くの人を引き付けるコンテンツに欠けていることと、ゴーグルの価格などハード面での課題でした。
ところが近年のテクノロジーの発達により、より魅力的なコンテンツが生み出されるようになり、今後メタバースをより充実させる技術として注目が集まっています。
そもそもメタバースでは現状ではゴーグルの着用が前提になるため、VRの技術は欠かせないものになります。
最新のVR技術では、専用ゴーグルを通じてよりリアルな仮想空間体験が可能となり、自分の分身であるアバターを自由に操作することもできるようになっています。
VR技術が進化すればするほど、ユーザーがアバターと一体化し、仮想空間がより現実の空間に近づいていくわけです。
このようなメタバースの発展に合わせて多くの企業が市場に参入しているわけですが、予期せぬ世界規模での新型コロナウイルスの感染拡大が、この動きに少なからず影響しているのは明らかです。
私たちサラリーマンもテレワークの普及など、日常生活のなかでオンラインへの移行が進行しましたが、Zoomでの会議は近い将来アバターにより仮想空間上のオフィスで行われるかもしれません。
関連して最後に1つMicrosoft社の面白い動画をご紹介します。
Microsoft社はオンライン会議に関してはTeamsに尽力していますが、やはりVRの技術の開発にも力を入れています。
以上、にわかに注目を浴びているメタバースについてご紹介しました。
映画の世界がいよいよ現実になりつつありますね。私たちも遅れないように時代についていきたいものです。
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