いま話題のSaaSとは?SaaS業界への転職についても考察【ビジネスパーソン教養講座】

ビジネスパーソンのための教養講座
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最近SaaSという言葉を見聞きする機会が増えていませんか。

実際、日本経済が停滞する中、SaaS企業はここ5年で大きな成長を遂げています。

既にSaaS業界には人材が集まりつつあり、転職を考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回の「ビジネスパーソン教養講座」では「SaaSとは何か?」、さらにSaaS業界に転職を考えている人が知っておくべき基礎知識をご紹介します。

SaaSとは

SaaSとは「Software as a Service」の略で、クラウド経由で利用するソフトウェアサービスのことです。

以前よく使われていたASP(Application Service Provider)と呼ばれる形態のサービスとほぼ同じ意味となります。

ユーザーは利用契約を締結し、月額や年額料金を支払うことで必要なサービスを必要な期間だけ手軽に利用することができるようになります。

そしてSaaSで提供されるサービスはサブスクリプション型のビジネスモデルです。

具体例を挙げるとわかりやすいと思いますが、多くの会社で利用されている

Google Workspace(旧G Suite)やZoom、Microsoft Teams、会計ソフトのFreeeやマネーフォワードなどがSaaSの代表例です。

ついでですが、SAASとよく似ている単語に「PaaS」や「IaaS」がありますのであわせてご紹介します。

PaaS(Platform as a Service)というのは、クラウド経由で「プラットフォーム」を提供るサービスです。

「プラットフォーム」というのはソフトウェアを動作させるために必要なベースのことで、データベースや開発ツールなど、主にシステム開発者が利用します。

馴染みがあるところで言えば、WindowsMacOSといったOSもプラットフォームに該当します。

一方、IaaS(Infrastructure as a Service)というのは、ネットワークや仮想サーバーなどのインフラを提供するクラウドサービスのことです。

MicrosoftのAzure、GoogleのCompute Engine、AmazonのAWSなどがこれにあたります。

SaaSの代表事例

SaaSを理解するためにもう少し代表的な事例を紹介します。

個人向けにはGoogleをはじめAppleのIcloud、Microsoft、Amazon、そしてYahooも典型的なSaaSですが、昨今はBtoBの市場でSaaS企業の成長が目立っています。

BtoB(法人向け)の市場では、次のような分野でSaaSが活用されています。

  • 電子メール
  • ファイル保管・データ共有
  • 全社情報共有用ポータルサイト
  • スケジュール管理・共有
  • プロジェクト管理
  • 給与・財務会計
  • 人事管理
  • 営業管理・支援
  • eラーニング研修
  • 課金・決済システム

Google

Google は、誰もが知る検索エンジン「Google」を中心にさまざまなサービスを提供する SaaS 企業の代表格です。

インターネットサービスを中心に、メール、ドキュメント作成・共有ツール、webサイト作成ツールなど、実に130以上ものサービスを展開しています。

有料プランもありますが、大部分が無料で使えるようになっているためほとんど意識しないで当たり前のように使っている人が多いと思います。

それこそがGoogleの狙いで、彼らは世界中にユーザーを拡大することでwebサイトやYouTube の広告から多くの収益をあげています。

freee

「freee」はfreee 株式会社が提供しているSaaS型の会計ソフトです。

freee 会計 は法人向けから個人事業主向けまで様々なタイプがあり、請求書や決算書の作成、給与計算など多様な会計機能を備えています。

従業員数名の個人事業主の会計業務を全てカバーできるのはもちろん、上場企業の会計業務にまで対応しています。

同じくSaaS型の会計ソフト「マネーフォワード」と並び、中小企業を中心にシェアが急拡大しており、今後も拡大していくことが見込まれています。

Sasan

「Sansan」はSansan 株式会社 が提供するクラウド上の名刺管理サービスです。

テレビCMで一気に知名度が上がりましたが、現在もっとも勢いのあるSaaS企業の1つです。

法人向けのメインサービスは名刺管理ですが、ただ名刺をデジタル化するだけではなく、名刺管理から営業組織を強化したりマーケティングに活かすなど、組織変革さらには働き方改革まで目指しています。

また個人向けにも、名刺管理を起点にネットワークを活性化させるための「 Eight 」というアプリを提供しています。

SaaSのメリット&デメリット(ユーザー側)

個人ユーザーにとって、SaaSを利用する最も大きなメリットは、購入費用がかからないという点です。

これまでのように自分で購入する必要がある場合は、初期購入費が負担になるうえ、必要なくなった時に元が取れるかどうかわからない、という懸念がありました。

さらに購入する場合と比べて、常に最新のバージョンを利用することができるのも魅力です。

また、クラウド経由でいつでもどこからで利用できるため、利便性に優れている、という点も見逃せません。

反対に個人で利用する場合のデメリットは、使い方や用途を全て規定のサービスに合わせる必要があるという点です。

企業であれば費用を出してカスタマイズを行う余地もありますが、個人利用の場合は自分の方がサービスに合わせる場面も出てきます。

その点でサービスの仕様が自分の用途に合わない方向に改修されたり、さらにはサービスが終了してしまう可能性があることも頭に入れておく必要があります。

SaaSのメリット&デメリット(企業側)

サービスを提供する企業側のメリットとしてまず挙げられるのは、一度獲得した顧客から継続的に売上げがあがる点です。

「ストックビジネス」と言われることもありますが、一度加入したユーザーが辞めない限り毎月売上が発生するため、顧客が増えれば増えるほど利益が増えていくモデルと言えます。

このモデルは売上の予測がしやすく計画的に投資を行うことができるため、経営目線でもメリットがあります。

また特にBtoBにおいては、継続利用している間にアフターフォローを行うことで顧客と継続的に関係を構築することが可能です。

その過程で新たなニーズをヒアリングしたり機能改修の要望を聞くなど、製品の機能向上につなげることもできます。

機能を向上する場合や機能を拡充する場合でも、製造業のように材料を仕入れ在庫を増やすなどの必要がないため、効率的に事業を拡大することも可能です。

実際に、先に挙げた企業をはじめ国内でも多くのSaaS企業が急成長を遂げています。

反対にSaaSモデルのデメリットとしてまず挙げられるのは、開発コストの回収に時間がかかることです。

ほとんどの場合SaaSの開発のために先行投資が必要になりますが、ユーザーはサブスクリプションで毎月支払いを行うため、一定期間以上利用してもらわないとコストを回収することができません。

さらにユーザーが離脱していかないようにメンテナンスや機能改修にも継続的に費用をかける必要があります。

SaaSビジネスにおいて最も避けなければいけないのは、顧客に解約されることなのです。

そのため、SaaSビジネスが成功するかどうかは、どれだけ多くのユーザーに、他社にはない付加価値を提供することができるか、という点にかかっています。

SaaS業界への転職を考察する

転職を考える際に重視するポイントは、給与などの待遇、会社の成長性、労働時間、、、人によって様々ですよね。

ただ、その中でも「企業の成長性」は給与にも直結し、自身の将来に大きく影響するため非常に重要な点です。

そのため転職を考える際は、会社を選ぶ前に「成長している業界」を選ぶ必要があります。

その点でSaaS業界は、今後各業界でDXが進む中で有望な業界の筆頭と言えます。

SaaSは特定の業界を指すものではなく、あくまでサービスの提供形態を表す言葉ですが、ビジネスモデル自体がSaaSに対応できない場合、今後衰退していく可能性もあります。

もちろん製造業など、ビジネス自体をDX化するには限界がある業界もありますが、特に営業職で転職を希望する場合は、SaaS業界は一度検討してみる価値があります。

ここまで紹介してきたようにSaaS業界は現在急成長しています。

さらにSaaS企業はベンチャーが多いため、事業拡大に伴い人員を増加する例が増えていまるのです。

SaaS業界で必要とされる職種はやはり開発エンジニアが多くなっていますが、事業拡大のためには営業職も欠かせません。

営業職にとってSaaS業界は一度は検討するべき業界と言えるでしょう。

「急成長」と聞くと残業も多い印象があるかもしれません。

もちろんSaaS企業の中には、バリバリのベンチャーで全員が夜遅くまで働いているような会社もあるでしょう。

しかしSaaS企業は若い経営者が多く、ライフワークバランスを重視する傾向があります。

また、積極的にリモート勤務を推進したり副業を認めるなど、自由で和気あいあいとした社風の会社が多いのも特徴です。

最後にSaaS企業に転職を希望する人向けに、覚えておきたい営業知識をご紹介します。

まずSaaSビジネスにおける営業プロセスとして覚えておきたいものに、最近注目されている「The Model」があります。

The Modelとは、SFAで有名なセールスフォース・ドットコムで活用されてきたものですが、最近はSaaS業界で一般的な営業モデルとして知られるようになりました。

株式会社セールスフォース・ジャパン 公式webサイトより引用

The Modelでは、営業プロセスを以下の4つのプロセスに分けて考えます。

  • マーケティング  (主にweb、SNSを利用したマーケティング)
  • インサイドセールス(アポ取りなどの内勤営業)
  • フィールドセールス(訪問、契約を行う外勤営業)
  • カスタマーサクセス(アフターフォロー)

それぞれのプロセスの中で、「母数」「成功率」「ゴール」を数値化し、その数値がスタートからゴールまで連携しているという点がポイントです。

各プロセスのスタッフが、各段階の数値を最大化して次のプロセスにパスしていくイメージです。

従来の日本型営業組織では、ほとんどのケースでアポ取りなどの内勤営業から訪問、受注、契約までを一人の営業マンが担当してきました。

この場合、営業プロセスが属人化し成功要因や失敗要因を社内で共有し次に生かすことが難しくなります。

The Modelでは、各プロせずを分業することで必要な情報を共有しながら専門性を高め、効率的に営業活動を行うことを目指しています。

次にSaaS業界で重要視されている用語についていくつかご紹介します。

・MRR

MRRとはMonthly Recurring Revenueの略で、「月次経常収益」のことです。

サブスクリプション型のビジネスでは、事業の安定性や成長率を判断するための重要な指標となります。

MRRには次の4つの種類があることも覚えておきましょう。

  • New MRR:新規顧客から得られるMRR
  • Downgrade MRR:ダウングレードなどで収益が減少したMRR
  • Expansion  MRR:アップグレードなどで収益が増加したMRR
  • Churn MRR:解約により失ったMRR

MRRは、前月のMRRに上記4つのMRRを合算して算出しますが、これに12か月をかけた、つまり年間の数字を「ARR(Annual Recurring Revenue)」と言い同じく重要な指標となります。

また、解約MRRを表すChurnは「チャーン」と言い聞きなれない人もいると思いますが、SaaS業界ではMRRやARRと同じく一般的に使われる用語です。

SaaS業界に転職を希望する場合は覚えておくといいでしょう。

以上、今熱いSaaS業界についてご紹介しました。

企業が伸びるかどうかはどの業界に属しているかによって大きく左右されます。

SaaS業界は間違いなく成長が続く業界と言えますので、転職にチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。

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