子どもが小学生になると習い事に通わせたいと考えるお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。
最近は幼稚園のサービスも充実していて、在園時に所属していたサッカーチームや英語教室を小学校に入学してもそのまま継続できるようなケースもあります。
多くの選択肢がある中で、少しでも子どもの役に立つ習い事をさせてあげたいと思うのは当然ですよね。
一方で習い事は親にもそれなりの負担がかかります。
金銭的負担はもちろんですが、毎回の送り迎え、さらにスポーツの場合は車出しなどの係が回ってくるケースもあります。
そこで今回は、親の負担も考慮しながら子どもにどのような習い事をさせてあげるのがいいのか考察していきます。
まずは習い事ランキング
まず最初に学研教育総合研究所が発表している最新の「小学生白書」から実際の習い事ランキングをご紹介します。
■実際の習い事ランキング
- 水泳
- 学習塾
- 英会話教室
- 通信教育
- 音楽教室
男女ともに昔から不動の1位は水泳です。
これは過去の小学生白書を見てもほとんど変わりません。
2位の学習塾も定番ですが、以前はピアノや習字のほうが上位でしたので、根強い学歴社会の影響と言えるでしょう。
その点では英会話教室も同じ背景があり、さらに小学校の英語教育必修化が後押ししているのは間違いありません。
少しでも早くスタートを切ることで将来有利にしてあげたいという親の希望が反映されています。
保護者の負担という点からみると、上位のランキングはいずれも「軽い」ものが並んでいます。
ランキング上位に並ぶ習い事は、毎回の送り迎えと、たまにイベントがあれば参加する程度で、非常に手離れのいい習い事と言えます。
次に日本トレンドリサーチ(運営会社:株式会社NEXER)による「子供に習わせたい習い事に関するアンケート」をご紹介します。
■男の子
- 水泳
- 英会話
- 野球
- サッカー
- プログラミング
■女の子
- ピアノ
- 英会話
- 水泳
- 習字
- そろばん
このランキングは、もし男の子(女の子)ができたら何を習わせたいか、というアンケート調査の結果です。
男の子のランキングで野球やサッカーが並んでいますが、先ほどの「実際に習っているランキング」には出てこないのが面白いところです。
これは、野球やサッカーなどスポーツクラブに加入することで発生する親の負担が影響していると推察されますが、この点はのちほどご紹介したいと思います。
また女の子の「ピアノ」も、実際の習い事ランキングでは順位が下がっています。
これもおそらく、実際に子どもができて習い事を始める段階になると、やはり学業に直結する選択肢を選ぶ傾向があるためではないでしょうか。
おすすめの習い事(定番編)
それではここから親の負担を考慮したおすすめの習い事をご紹介していきます。
習い事の定番と言えば、「水泳」「習字」「そろばん」「ピアノ」があがりますが、いずれも親の負担は「小」です。
送り迎え程度で済みますし、近所なら徒歩や自転車も可能、スイミングスクールは送迎バスがあるケースもあります。
長い間定番として続いているのは親の負担が少ないという要因もあるでしょう。
同じく習い事の定番の中でも、将来の受験を意識したものと言えば「学習塾」「公文」「英会話/英語塾」があげられます。
こちらも親の負担は極めて少なく、近所に通うのがほとんどですのでせいぜい雨の日に送り迎えをする程度でしょうか。
なにより親同士の煩わしい人間関係が発生しません。
そのため、特に強い希望がない場合は、まずは定番の中から始めてみるのが無難と言えます。
おすすめの習い事(個性派編)
定番ではないものの、個性派の習い事もいつの時代でも一定の需要があります。
「体操」「空手」「テニス」「ダンス」「絵画」「将棋・囲碁」「バイオリン」といったものですね。
これらは「個性派の定番」ともいえるものですが、特に体操、テニス、将棋などのように全国的、世界的に活躍するプレイヤーが出るとそれに合わせて人気も上がります。
体操の内村選手、テニスの錦織選手、将棋の藤井聡太君ですね。
これら個性派の習い事について親の負担を考えると、多少の差はありますが概ね「中~大」といった程度です。
個性派、つまり大衆向けではないため、自分の子どもが希望する習い事が近所にあることは稀で、多くの場合送り迎えが必要になります。
また、いずれも特定の用具類、特にバイオリンなどになると、一式揃えるのにそれなりの費用もかかります。
小学校の校庭で練習できる野球と違って、テニスは施設利用料なども発生します。
そのため、個性派系は同じ「親の負担」でも費用面の負担が大きくなる傾向にあります。
将棋は一見道具は要らないようにも見えますが、日本将棋連盟公認の指導棋士に習う場合などは、毎月8,000円~10,000円程度の月謝が必要になります。
おすすめの習い事(これから注目編)
一方、昨今受講者が増加している習い事がありますのでご紹介します。
それは「プログラミング」と「英会話教室」です。
英会話教室は今さら?と思うかもしれませんが、先ほどご紹介した通り小学校での英語必修化を背景に「少しでも早く英語を習わせたい」という親御さんが増えています。
また、すでに「国際化」という言葉は当たり前になっていますが、楽天やユニクロなどの大手企業が社員に英語力の向上を求めていることなどが徐々に知られるようになってきたことも背景にあるでしょう。
将来英語で苦労しないように、という多くの日本人が抱える英語への切実な思いが子どもの習い事にも影響しているわけです。
ちなみに英会話/英語教室に通う場合の親の負担は「小~中」程度です。
今どき教室もたくさんありますので、通う分には大きな負担はありません。
ただ、ネイティブ講師を社員で抱えているようなスクールでは、8,000円~15,000円といった月謝もあり、費用面での負担が大きくなることがあります。
また、「プログラミング」や「ロボット教室」も昨今注目されている習い事です。
馴染みがない方も多いと思いますが、プログラミングも英語と同じタイミングで小学校から必修化されたため、早い段階で習わせたいという親御さんが増えています。
また、AIを筆頭にますます世の中のIT化が進む中、国をあげてデジタル人材の育成に取り組んでいる現状があります。
「GIGAスクール構想」といって全国の小中学生に一人一台のパソコンを貸与していることにもその姿勢が表れています。
そのような背景を受け、「子どもが時代に乗り遅れないようにしたい」という親の気持ちが読み取れます。
プログラミング教室は費用が高いという印象をもっている方もいるかもしれませんが、実際は8,000円~10,000円程度が一般的です。
最近ではオンライン教室も増えていますが、各地で教室数が増えていますので通う場合でもそれほど苦労はありません。
親の負担は十分「小」の範囲といえます。
おすすめのプログラミング教室はこちらの記事をご覧ください。
おすすめの習い事(親の覚悟編)
最後に親の負担MAXな習い事を紹介します。
それはズバリ「少年(少女)スポーツ」です。
代表的なのは言うまでもなく野球、そしてサッカー、バスケもなかなかのものです。
もちろんそういうケースが多い、というだけであって、世の中には他の習い事と同じくらいの負担で参加できるスポーツチームもあるでしょう。
ただ、実に多くの少年(少女)スポーツには共通して「親の負担が大きい」という傾向があります。
実際にどのような負担かと言えば、実質的に指導者の世話係である「お茶当番」に始まり、車出し、予約係、会計係、遠征係、会計係、撮影係、web(SNS)係、、、
と、実に多様な係が存在しています。
さらに全てをまとめる代表、副代表ともなるとはっきり言って生活のすべてを捧げる、という「覚悟」が必要となります。
それでも単純にこのような係だけなら、もしかしたら楽しんで担当することもできるかもしれません。
ところが現実に待っているのは「大人たちのややこしい人間関係」です。
ほぼ100%と言ってもいいくらい、親同士の揉め事が発生します。
仮にある年は穏やかな状態だったとしても、毎年メンバーが変化する中で必ずと言っていいほど何らかの問題が発生するものです。
何故なら親同士のいざこざが発生する要素が詰まっているのが少年スポーツだからです。
まずこれだけ多くの雑用が発生するうえに、各家庭によってさまざまな事情があり、温度感はバラバラです。
中には、まだ下に小さな兄弟姉妹がいる家庭もあれば、フルタイムで働いているお母さんもいます。
家庭によってはほとんど協力できない場合もありますよね。
また、「すべての試合を見に行くのが常識」という家庭もあれば、練習試合は行かずに年に数回の公式戦だけ見に行けば十分、という家庭もあります。
そのような温度感の違いはだいたい派閥のようなものになって現れてきます。
そして派閥ができればそこには必ずボスが現れます。
誰もボスに意見を言えなくなるのは世の常で、面倒なことに6年生のボス親と5年生のボス親が対立したりするともはやカオスとなります。
こういうケースは5年生のボス親の子どもがエースだったりするのでなおさらややこしくなります。
また、子どものレギュラー争いに親が口を出したり、指導方針をめぐって親同士で意見が分かれたりすることもよくあります。
このような親のいざこざに疲れ果てて、「クラブを辞めてほしい」と子どもを説得するようなケースもあると聞きます。
たかだか小学生のスポーツクラブなので数年もすれば自動的に終わるのですが、その最中の負担があまりにも大きいわけです。
実は親の負担はそれだけではありません。
月謝としては5,000~6,000円程度が一般的ですが、道具一式、ユニフォーム、チームバッグ、遠征費、大会参加費、、、など、年間を通すと結構な額になってきます。
少年(少女)スポーツは、まさに親の負担「MAX」の習い事なのです。
それでも全国で多くの子どもたちが汗を流しているのは、やはりそれ相応のメリットもあるからです。
特に昨今すっかり「甘く」なった学校の指導方針の影響で子どもたちの耐性が弱くなり、少し怒られただけで会社を辞めてしまうような若者が増えていると言われています。
そのため、厳しいコーチの指導のもとで日々の訓練に励み、勝負の厳しさを体験することは、子どもたちにとってお金に換えられない貴重な経験となるのは事実です。
この部分はまさに「プライスレス」と言えますね。
昔から企業で体育会系出身者が好まれているもの、そのような厳しい環境を経験している人間力を評価しているのです。
その点では、多少きつくても良い指導者がいる場合は、一生懸命取り組む価値は十分にあると言えます。
小学生であっても、良い師との出会いは人生に大きな影響を与えることもあります。
一方で問題のある指導者が多いのも事実です。
特に強いチームでは指導者は絶対的な存在となり、誰も意見を言えないことがよくあります。
それだけならいいですが、子どもを怒鳴り散らすのが当たり前、という指導者もたくさんいます。
子どもによっては強い精神力を養い立派に育っていくケースもあるでしょうが、反対に怒られるのが怖くて常に大人の顔色をうかがうような子どもになってしまう可能性もあります。
そのため、少年(少女)スポーツに加入する際は、「本当に子ども自身が好きかどうか」「向上心を持って楽しく取り組んでいるか」ということを軸に、親がしっかりと見守ってあげることが大事です。
最後に個人的な結論
最後に、私「とあるサラリーマン」が習い事に関して正解だと思うことをご紹介します。
それは「子供自身が一番やりたいものを選ぶ」ということです。
これまで子どもたちを見ていて思うのは、その道のプロになるような場合を除いて、習い事自体は何をやっても大差ない、ということです。
そんなこと言ってしまうと元も子もない気もしますが、実際のところ子どもが高校生になってみて振り返ると、結局はもともと持っていたキャラクターに落ち着いている、と感じます。
そのため、「子供がやりたいと思うこと」をやらせてあげるのが、強いて言えば正解に近いのではないでしょうか。
何故なら、技術や知識は忘れてしまっても、「自分のやりたいことに取り組ませてもらっていた」という記憶は確実に残るからです。
子どもは自分がやりたいと思うものに取り組む過程で、自分の得意不得意、向き不向き、というものを自然と見つけ出し、社会での生き方を身につけていくのではないでしょうか。
そういう意味では、1つに絞らずに「やりたい」というものにできるだけ多く取り組ませてあげるのも無駄ではないと思います。
また、勉強は中学になれば全員が取り組むので、習い事は幅広い分野から選択させてあげるのもいいと思います。
そのために多少の負担を強いられるとしても、それも親の役割の1つと言えるかもしれません。
以上、親の負担から子どもの習い事を考察してみました。
子育て自体に正解はないと言われますが、習い事も正解は1つではありません。
この記事が習い事で迷っている親御さんの参考になれば幸いです。
コメント