大手副業マッチングサイトを運営する株式会社ランサーズが発表した『フリーランス実態調査 2021』によると、副業(複業)をしている人の数は、2020年の708万人から2021年は812万人まで増加したそうです。
ただ、実際に副業で稼げているのはまだまだほんの一握りに過ぎないのも現実です。
特に一般的な営業職のサラリーマンにとって、本業以外で実際にお金を稼ぐことは簡単ではありません。
特別な資格やITスキルを持たないサラリーマンが副業を始めようとしたときに、最も身近なツールは副業マッチングサイトです。
ただ、手軽に登録できるマッチングサイトも、実際に「稼ぐ」には、それなりの準備と対策が必要です。
そこで今回は、営業系サラリーマンに向けて、副業マッチングサイトの賢い使い方をご紹介します。
副業マッチングサイトは手軽に登録できて簡単に稼げるような紹介がされていることもありますが、特に営業職の副業の場合、現実は相当に厳しいものです。
ここでは、私「とあるサラリーマン」の経験をもとに、一般的なサイトには記載されない実態も紹介していますので、副業を始める際の参考にしてみてください。
まず認識しなければいけないこと
もともと副業マッチングサイトは、フリーランスとして働くプログラマーやクリエイターと、依頼元となる企業を結び付けるプラットフォームとして展開されてきました。
そのため多くの副業マッチングサイトは、現在でもプロフェッショナルなスキルを有するフリーランス向けの案件が占める割合が多くなってます。
その後、働き方改革による副業の増加を受け一般事務や軽作業、そして営業代行の案件も増えてきており、その中でも主に営業職向け案件を扱うサイトも誕生しています。
ここでまず認識しなければならないのは、副業として営業代行を行いその対価を得るには「成果を提供する必要がある」ということです。
成果とはつまり「契約成立」や「受注」のことです。
業界や会社の方針によりますが、一般的に社員として働く営業職には、営業成績が目標を下回った場合でも給与が支払われ、雇用も継続されます。
給与の中で会社の業績や営業実績に連動する部分がある場合もありますが、全く支払われないということはまずありませんよね。
営業代行はその性質上、基本的に成果報酬が一般的です。
ここでご紹介するサイトの中には固定報酬が設定されているサイトもありますが、その場合でも明確な活動報告が求められます。
例えばターゲットリストに営業を行い、商談に至らない場合は細かく反応を記録するなどです。
与えられたターゲットリストを1件1件アプローチしていき、関心の度合い、キーマンのポジションや名前、抱えている課題、などをヒアリングし、リストに記入していく、といったような営業経験がある方は対応しやすいと思います。
固定報酬の営業代行は倍率も高く、さらに契約を継続するためには着実に営業活動をこなし、成果を報告していく必要があります。
依頼元の企業は長期的視野で外部営業スタッフを育てる気はなく、外注することで短期的に営業成果を得たいわけですので、これは当然と言えば当然です。
ただ、今日まで長く正社員として働いている場合は、その厳しい現実に心が折れてしまうケースも少なからずあるのが現状です。
そういった事情から営業代行の副業は、根っからの営業マン、例えば新規アポ電話が好き、とまではいわなくとも苦にならない人、人と話すのが得意な人、でないと継続して結果をだすことが難しいのが現実です。
「副業」というとなんとなく「片手間」で考えがちですが、3か月から長くても6か月という短期間に全力投球し、しかも成果を出さなければいけないプレッシャーもあります。
本業の方が慣れている分、よっぽど片手間でこなせます。
反対に、成果報酬の場合は「ノルマ」はありませんので、精神的にも少ない負担で取り組むことができます。
自分のペースで取り組んでみて、結果が出れば成果報酬を受け取ればいいのです。
また、いつどのように業務を行おうが規約に反しない限りは全くの自由です。
まさにプロの営業として、成果に対して報酬を受け取る、というシンプルな考え方です。
ここまで読んで、営業代行に自信がなくなった方は、自分のペースで取り組める副業プラットフォーム「ONE’S BEST」の記事もご覧ください。
副業マッチングサイトのしくみ
その点を踏まえたうえで、次に副業マッチングサイトの仕組みについて知っておくべき大事なことがあります。
それは、副業マッチングサイトを利用する依頼元の企業は、あなたを都合よく利用したい、ということです。
やや大げさに書きましたが、これもごく当然のことです。
何故なら副業マッチングサイトは、副業を探すユーザーは無料で利用できる代わりに、依頼元の企業が使用料や成果報酬をマッチングサイトに支払う仕組みになっているからです。
依頼元の企業は、本来自社で準備するべき営業組織を副業マッチングサイトで調達しようとするわけですので、その分の費用を払うことになります。
企業は営業組織を整備し維持するために多額の固定費を費やす代わりに、変動費として必要な時に必要な分だけ外部から調達することができます。
正社員の場合は、今すぐに成果が出なくてもその経験を活かして将来会社で活躍してくれることを期待して雇用が継続されます。
それに対して、営業代行を依頼する企業が期待しているのはユーザーの成長ではなく、すぐ目の前の成果であるということを忘れてはいけません。
ここで少し余談ですが、副業マッチングサイトの中には代理店を募集する案件が掲載されているケースも見受けられます。
実際、副業マッチングサイトは確かに代理店募集に似ている側面もあります。
しかし、副業として営業代行案件を探しているユーザーが求めているものは、代理店募集と副業マッチングサイトでは大きく異なります。
そのため、代理店募集案件があきらかに多く掲載されている副業マッチングサイトは、副業を探しているユーザーにとって良質な情報を提供している、とは言い難いでしょう。
副業マッチングサイトのタイプ
現在、副業市場の急拡大を受けて副業マッチングサイトが乱立しています。
副業マッチングサイトは、ユーザーが提供したいスキルによって大別されます。
ここでは営業系サラリーマンが副業として営業代行を行いたいと考えた時にどのような副業マッチングサイトを利用すればよいのかご紹介します。
3-1. 特定のスキルがある場合
営業系サラリーマンでも意外と副業につながる何らかのスキルを持っているケースはよくあります。
自分では気づいていないものの、他人にとっては価値のある知識やスキルであるということがありますので、まずはそのようなスキルがないか確認してみましょう。
成果が求められる営業代行よりも、自分の趣味や特技で報酬を得る方がはるかに容易で長続きするものです。
自分にそのようなスキルがあるかわからない、という場合は次に紹介するサイトで実際に依頼されている案件を見てみてください。
様々な分野の依頼がありますので、その中でもしかしたら自分にも対応できる業務があるかもしれません。
Zehitomo<ゼヒトモ>この2つのサイトは主に個人事業主を対象に作られていますが、個人事業主の一歩手前のような副業を行っている会社員でも活用することが可能です。
いずれのサイトも何らか特定のスキルをもった個人や個人事業主と、それを依頼したい個人をマッチングするプラットフォームです。
利用者はいずれも個人であることがほとんどですが、このサイトでは仕事を依頼する個人ユーザ側は無料で利用でき、副業として仕事を受ける側の個人ユーザ(もしくは個人事業主)が手数料を支払う仕組みとなっています。
具体的な例としては、語学や筋トレなどの指導、庭掃除や家事、家電の修理、webサイト作成など多岐にわたります。
営業以外にスキルがある場合は、このようなサイトを利用するのがおすすめです。
一度覗いてみれば、自分にもできる業務が掲載されていないか確認することができますよ。
一方、特定のスキルはないため「やはり営業で稼ぎたい」という場合には、大きく以下の2つのタイプのマッチングサイトがあります。
- 純粋に営業力で勝負するタイプ
- 知り合いの中から顧客を紹介するタイプ
それぞれ特徴を紹介しますが、どちらか1つに絞る必要はなくそれぞれのメリットを生かし同時に登録し並行して活用することも可能です。
3-2. 営業代行で勝負する場合
これは文字通り営業力で成果を獲得し報酬を得る方法です。
自社で営業人員を採用、育成する体力がないという企業からの依頼が多いため、必然的にベンチャー企業のような小規模の若い会社からの依頼が多い傾向にあります。
このタイプの場合は一定の経験やスキルが応募条件として設定され、応募者の選考が行われます。
依頼元の企業は応募してきたユーザーと面談を行い、経験やスキルが求める条件を満たしていれば契約を行い、実際の営業活動を委託します。
このケースでは、依頼される営業活動に固定報酬が設定されているケースもあります。
このタイプの副業マッチングサイトは、登録の段階から詳細な経歴、職歴を入力する必要がありますが、その分営業職に相応しいビジネス案件を探すことが可能です。
個人的にはこのタイプが本来の意味で営業系サラリーマンの副業に適していると考えており、私も過去には一定期間営業活動を経験したことがあります。
それでは営業代行案件を探すうえでおすすめのサイトを2つご紹介します。
・Kakutoku(カクトク)
営業職向けのマッチングサイトとして最初にご紹介したいのはKakutokuです。
副業として営業代行を行う場合、まずはこのkakutokuに登録して経験を積むことをおすすめします。
kakutokuは、営業代行の副業を探しているサラリーマンや営業代行会社と営業支援を求めている企業のマッチングプラットフォームです。
2021年12月時点でkautokuには、個人だけではなく営業代行会社も含め10,000人以上のユーザーが登録されています。
そして案件を掲載しているクライアント企業の数は、同じく2021年12月時点で1,000社を超えており、営業系のマッチングサイトとしては最大級と言えます。
案件を掲載している企業の規模も業界も多岐にわたっているため、営業系サラリーマンにとってこれまでの営業で培った経験を活かす案件が見つけやすいサイトとなっています。
また、利用者の疑問に対応するためのQ&Aページを準備し、急ぎの質問にはチャットで数十分以内に回答する運営体制を取っているのも利用者の安心感につながっています。
さらにkakutokuは、依頼元の企業向けに柔軟かつ戦略的なメリットを提供しています。
例えば依頼元の企業は、登録者の中から自社の案件にマッチした人材を集めてオリジナルの営業代行チームを作ることも可能です。
営業代行会社を利用して営業チームを結成する場合は、最短で7日間で稼働可能とするなど、スピーディーな体制も構築しています。
また、営業工程の中でどの範囲を外注するか、細かく設定することもできます。
このように営業を外注したい企業に向けた質の高いサービスを提供することで、kakutokuは多くの掲載企業を集めることに成功しています。
また、登録ユーザ向けの大きなポイントとして、kakutokuの営業代行案件は基本的に固定報酬となっています。
登録ユーザにとっても価値の高い案件が多く掲載されており、これが登録者の増加にも繋がっています。
kakutokuに登録する際は、一般的な基本情報のほかに学歴、職歴、得意分野、副業の実績といった情報を細かく入力していく必要があります。
一見ハードルが高いように感じますが、裏を返せばそれだけしっかりしたレベルの営業案件を探すことができるとも言えます。
そのため、「まずは気楽に始めたい」、という人には向いていませんが、営業代行を行うという方向性が決まっているような場合、つまり本気度の高い人には向いているサイトです。
・Kasooku(カソーク)
営業代行型で紹介したいもう1つのサイトはkasookuです。
kasookuは営業系の副業人材を募集したい企業が外部人材の募集案件を掲載し、営業したいユーザとマッチングするプラットフォームです。
また、副業と合わせて転職を希望するユーザと企業をマッチングする機能も備えています。
ユニークな点として、依頼元の企業が報酬として自社サービスの提供など金銭以外のモノを設定することもできるようになっていますが、実際のところ登録者は金銭での報酬を希望することがほとんどです。
掲載されている営業代行案件には、
「依頼しているのはどんな会社か」
「なぜこのビジネスをやっているのか」
「副業として登録するユーザに何を求めているか」
という情報が詳細に記載されているので、副業を探しているサラリーマンにも判断しやすいサイトになっています。
2021年12月現在で、複業125件、転職45件が掲載されていますが、今後もう少し掲載案件が増えていくことが期待されます。
全体的に営業案件では、新規開拓営業(テレアポ、訪問、紹介)が多くなっていますが、一方で「オンライン授業における体験授業の進行」といったユニークな案件もあります。
Kasookuには、純粋な営業代行業務も掲載されていますが、後で紹介するリファラル営業案件の割合も多くなっています。
リファラル営業の場合は、基本的に成果報酬となります。
また、登録にあたりFacebookのアカウントが必要となりますので、登録する場合は事前に作成しておくとスムーズです。
ここで1つ紹介したいのは、サイトの中で表示される「複業転職」という考え方です。
複業転職とは、面接のみで採用した場合に発生するミスマッチを防ぐために、複業として業務を経験し双方が納得すれば正式入社する、というシステムです。
副業の先に転職も視野に入れている人にはうれしいシステムと言えます。
3-3. 紹介営業を活用する場合
次のご紹介するのは紹介営業タイプです。
これは最近注目されている営業手法で、「リファラル営業」や「ソーシャルセールス」といった呼び方があります。
リファラル(紹介)営業とは、商品やサービスを提供している企業に、その商品に対して関心のありそうな知り合いを紹介し、その知り合いが商品を購入(導入)した時点、もしくは紹介した段階で報酬が発生する仕組みのことです。
副業として活動するユーザーには紹介料が入り、紹介された知り合いも探していた商品やサービスを購入することができる、さらに依頼元企業は商品(サービス)が販売できる、ということでいわゆる「三方良し」の図式となります。
一方で「親族や知り合いすべてを勧誘し人間関係にひびが入る」といった、かつて生命保険などの販売で展開された手法とも類似する要素もあるのも事実です。
また、この場合求められているのは、本来の意味の営業力、営業スキルではなく、商品(サービス)を購入しそうな知り合いを紹介することであるため、スキルアップにはつながりにくいという側面もあります。
とあるサラリーマンもこのタイプのサイトも登録していましたが、人脈には限りがあるため長くは続きませんでした。
そういった点を踏まえ、このタイプのサイトは営業代行タイプの案件と並行して利用するのがおすすめです。
それではリファラル営業案件を探すうえでおすすめのサイトを2つご紹介します。
・side bizz(サイドビズ)
side bizzは、リファラル営業タイプでは業界大手のマッチングサイトです。
副業を探している営業系サラリーマンや営業代行会社と、営業活動をアウトソーシングしたい企業のマッチングを行います。
副業で営業代行を行う個人やフリーランスなど個人が多数登録しているため、新規開拓したい企業はその人脈・販路を活用することができる仕組みです。
企業は営業をアウトソーシングすることで、営業リソース不足に関する課題をクリアし、登録しているユーザーは知り合いを紹介したり営業を代行することで報酬を得ることができます。
2021年12月の時点で、サイドビズに掲載されている案件数は100商材を超えており、人脈が豊富なユーザーは活用の余地が大きいサイトです。
サイドビズの案件は基本的に成果報酬型で、ノルマはありませんので副業の1つとして登録するといいでしょう。
サイドビズは先ほど紹介したリファラル(紹介)営業メインとなるため、職歴など細かい情報の登録は不要です。
・saleshub(セールスハブ)
ビジネスマンのための気軽な副業サービス【Saleshub(セールスハブ)】リファラル営業型の副業マッチングサイトとしてもう1つ挙げられるのがsaleshubです。
saleshubも商品やサービスを購入する可能性のある知り合いを紹介をすることで報酬を受け取ることができます。
saleshubは、紹介営業を「ソーシャルセールス」として積極的に展開しています。
確かにこれまでのBo to B営業の新規開拓においては「ムリムダ」が多く発生していたことは事実です。
例えば1つのビルのすべてのテナントに飛び込み営業することを課せられたり、1日中受話器をもって営業電話をかけ続けたり、といった手法が多くの業界で行われていました。
飛び込み営業や営業電話は、受け手にとっても時間の無駄であり、非効率的な手法であることは間違いありません。
saleshubはそのような従来の非効率な営業手法の問題を解決することをミッションの1つとしています。
さらに「ソーシャルセールス」は、特別なスキルがない営業系サラリーマンにとっては貴重な副業の機会にもなります。
また、商品やブランドに共感する企業に知り合いを積極的に紹介することで、報酬を得るほかにもその企業とつながりを持てるチャンスにもなります。
以上、営業系サラリーマンにおすすめの副業マッチングサイトをご紹介しました。
多少厳しい現状も記載しましたが、副業で大事なことは最初のうちはとにかく数多くトライする、ということです。
仮に成果が出ない場合でも、必ず何らかの発見があるものです。
そのようにしながら自分に合った副業のスタイルを確立していくことで安定した副収入を得ることができるようになります。
営業代行と代理店の長所を合わせた副業プラットフォーム「ONE’S BEST」についてはこちらの記事をご覧ください 。
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