副業にも利用できる後継者人材バンクとは?

副業
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副業の規模は人ぞれぞれだと思いますが、中には「できればそのまま独立したい」という方もいると思います。

起業という選択肢もありますが、その成功率を考えるとなかなか踏み切れるものでもありません。

それでも腰掛け程度の副業ではなく、ある程度本気で事業に取り組みたいと考えている方向けに今回は後継者人材バンクを利用して事業を買収するという方法をご紹介します。

別の記事でご紹介していますが、私自身学習塾の個人M&Aを行った際、同時に後継者バンクにも登録を行い案件を探していました。

「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」をやってみた(開業編)
本屋で購入した一冊の本をきっかけに、普通のサラリーマンが塾のオーナーになった顛末を紹介しています。

後ほどご紹介しますが、一定の手続きを経たのち登録を行うと、その後はメールマガジンという形式で後継者を探している事業のリストが配信されますので、その中から自分の希望に合致する案件を見つけることも可能です。

後継者バンクを利用することについては、案件にもよりますが、前提条件として会社員が副業として取り組むことが禁止されているということはありません。

そのため副業から事業を始めたい人にとっては、活用する価値のある制度となっています。

後継者人材バンクとは

後継者人材バンクとは、各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターで行われている事業のひとつで、中小企業の後継者不足問題を解決するために様々な支援業務を行っている制度のことです。

この「事業引継ぎ支援センター」は各都道府県に設置されており、後継ぎを探す中小企業や個人事業主と、事業を引き継ぎたい企業や個人とのマッチングを支援している機関のことです。

この事業の背景には、現在全国的に後継者が見つからずに困っている小規模事業者が増えているという事情があります。

事業引継ぎ支援センターでは、事業承継に関する情報提供・アドバイスのほか、M&Aの専門家や金融機関の紹介など、さまざまなサービスを提供しています。

後継者人材バンクへの登録は無料で、事業支援引継ぎセンターで行われる相談も基本的には無料です(民間のM&A会社や会計士を紹介されるケースもあります)。

後継者人材バンクのメリット

続いて後継者人材バンクを利用することのメリットをご紹介します。

公的機関である点

まず挙げられるのは後継者人材バンクが公的な支援機関であるという点です。

多くの都道府県で商工会議所や産業振興センターなどのビルにあることが多く、事業を承継する双方が安心して利用することができます。

私の場合も、最初は説明会に参加したり、履歴書や収入証明書を提出するなど手間がかかりましたが、その分安心感を持つことができました。

詐欺案件などはもちろん排除されますし、実態と書面での内容が極端に乖離しているような案件もありません。

手数料が発生しない

事業の承継にあたりもちろん事情内容、規模に応じた譲渡金額は設定されていますが、マッチングに伴う手数料は発生しません。

この点が、民間のM&Aサービスと大きく異なる点です。民間のM&Aサービスの場合は、一般的には事業の買い手が譲渡額に応じた手数料を支払う必要があり、規模が大きいほどその負担も大きくなってしまいます。

小規模案件にも対応している

後継者バンクは主に中小企業向けの支援制度であるため、個人事業主が行っているビジネスなど、扱いやすい規模の案件が多くあります。

事業主としての体力が小さい売り手側にも利用しやすいサービスですが、買い手側にとっても現実的な規模の事業を見つけやすい制度となっています。

後継者人材バンクのデメリット

反対に後継者人材バンクのデメリットも確認しておきましょう。

案件が少ないケースがある

後継者バンクはまだまだ認知度が低いため、案件そのものの数が少ないケースがあります。自治体によっては電車などに広告を掲載していることもありますが、宣伝に力を入れている民間サービスに比べると買い手側売り手側双方とも登録件数が少ない傾向があります。

その中でさらに自分の希望する条件に合致する案件が見つかるまでには、かなり時間がかかる可能性があることを念頭に置いた方がいいでしょう。

ある程度自分で対応する必要がある

後継者バンクは公的機関が運営しており費用が掛からないというメリットがある反面、利用できるサービスには限りがあります。

そのため実際に案件が見つかりデューデリジェンスを行う必要があるといった場面では、民間の有料サービスを使う必要があります。

事業引継ぎ支援センターのスタッフも支援してくれますが、最終的にはすべて自己責任となるため、交渉や契約にあたり必要な対応についてはすべて自分で判断する必要があります。

有料サービスを使う可能性もある

事業引継ぎ支援センターの中には中小企業診断士や会計の資格を持ったスタッフがいるのでそれなりにサポートしてくれますが、やはり公的機関としての立場がありますので踏み込んだサポートまで対応できないケースもあります。

最終的には自己責任となりますので、自分で費用を払い民間のサービスを利用する場面も想定しておきましょう。

後継者人材バンクの利用方法

自治体や利用者の状況により異なるケースもありますが、一般的な後継者バンクの利用方法についてご紹介します。

  1. 説明会に参加
  2. 利用申し込み(申込書類提出)
  3. 個別面談、ヒアリング
  4. 登録完了
  5. マッチング
  6. 個別交渉
  7. 事業承継契約

自治体によって一部前後したりしますが、後継者人材バンクへの登録方法は上記のような流れになっています。

各自治体の説明会日程や申し込み方法はホームページからすぐに確認することが可能です。面談・ヒアリングの結果、事業運営の経験がない場合などは、同じく公的機関が実施している起業セミナーなどの受講を推奨されるケースもあります。

登録を完了するまでには1か月から長くて2か月程度かかることもあります。サラリーマンが副業として事業承継を考えている場合は、その点をはっきり伝えるようにしましょう。

事業引継ぎ支援センターにとっては、買い手側がその経営能力と運営資金と強い意志を有していれば、法人でも、個人事業主でも会社員の副業でも特に制限はかけていません。

私が登録した際は、運営資金を証明するため収入証明書を提出しました。

無事に後継者人材バンクへの登録が終わると、その後は定期的に譲渡希望案件が送られてきます。

先ほど記載した通り、実際は案件数が少ない傾向にあるためすぐに希望する条件に合致する案件を見つけることは難しいかもしれません。

後継者人材バンクは、事業を開始するための1つの手段として位置づけ、同時にスキルも磨きながら中長期的に取り組むのがいいでしょう。

もし希望する案件が見つかり、交渉の結果両者が事業承継に合意した場合、事業承継の手続きに移行します。

この段階になると、必要に応じて事業引継ぎ支援センターから、事業承継に向けたM&A専門家などを紹介してもらうことも可能ですが、外部の有料サービスの場合もあります。

特に成約の前には、デューデリジェンスといってM&A時に売却側の企業および事業に潜むリスクを調査することが必要となりますので、将来のリスクを避けるために有料でも専門家のサポートを受けることをおすすめします。

全ての調査、交渉を経て契約が合意する場合は、いよいよ契約となります。契約書は法的拘束力を有しますので、やはり専門家にチェックしてもらうようにしましょう。

余談ですが、この段階までくると、個人でも事業用の実印を準備することをおすすめします。

一般的な印鑑でも締結できなくはないですが、今後の事情の展開も考慮すると形を整えるのも大事なことです。

以上、まだあまり知られていない後継者バンクについてご紹介しました。

「事業を買う」という選択肢は、ゼロからの起業に比べ制約される面もありますが、圧倒的にリスクを抑えることができる手段でもあります。ただ、いずれにしろ一番大事なのは本気度、この一点に尽きます。ある程度将来を見越し、本気で副業に取り組みたい方はぜひ活用してみてください。

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