サラリーマンが副業で開業届を出すメリットと注意点

副業
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このブログではサラリーマンが副収入を得るための方法を紹介していますが、その本気度は人によってバラバラです。

ちょっとしたお小遣いを確保したい」という場合から「将来の独立を見据えて本格的に取り組みたい」という方まで様々です。

そしてある程度本気で取り組んで副収入を得て、さらに拡大していきたいと考えている方の中には個人事業主として開業届を出すかどうか迷っている人もいると思います。また今は考えていなくても、漠然と将来は個人事業主になりたいと考えている人も少なからずいるはずです。

副業の解禁に伴いサラリーマンでも開業届を出して副業に取り組む人も増えているのも事実です。

ちなみに本来「開業届」というのは、副業であっても事業所得が生じる事業を開始している場合は1ヶ月以内に提出する義務があります。ただ実際は罰則がないので結局ほとんどの場合、自分で判断しているというのが現状です。

私自身は個人買収で事業を承継した際に必然的に開業届を出した経験がありますが、あらかじめ制度がどのようなものか知っておくと将来慌てることもなくなります。

そこで今日は個人事業主についてその内容、提出するメリットデメリットなど今のうちに知っておくべきことについてご紹介します。

個人事業主とは

個人事業主とは、文字通り「個人」で「事業」を営んでいる人を指します。ここでいう「個人」とは、法人でないことを意味しています。

そして「事業」とは、営利を目的として継続的に商売や経営を行うことを意味しています。簡単に言うと、個人事業主とは会社ではなく個人で商売や経営を行う人ということになります。

「個人事業主」というと親から引き継いだ個人商店の店主や脱サラして独立した人を指すイメージがありますが、フリーランスのwebデザイナーやアフィリエイター、ネットショップで物販を行う人などさまざまな職業に適用される言葉です。

開業届を出すかどうかの判断方法

冒頭でも記載しましたが、継続して事業所得が発生する事業を始めている場合は「その事実があってから1ヶ月以内に開業届を提出しなければならない」と、所得税法229条で定められています。

この「事業所得」というのは、事業を営むことによる所得ですが、一般的に「副業」の場合の収益は「事業所得」ではなく「雑所得」にあたりますので、その場合は基本的に開業届を提出する義務はありません。

ではどのような場合に事業に該当するかというと、

  1. 継続性がある
  2. 営利性がある
  3. 自己の計算と危険において独立して営まれてい
  4. 事業として客観的に成立している

という目安があります。

これに該当する場合は開業届を提出する義務が発生します。

反対にほとんどの副業は「事業」というレベルではないケースが多いので、開業届を出すか出さないかはそのメリットデメリットを考慮して判断することになります。

よくある開業届と確定申告の誤解と注意点

先ほど記載したように「事業」を営む場合は提出の義務がありますが、実際のところ開業届を提出しなくても罰則等はありません。

副業の利益を「雑所得」として扱う場合は、税法上のメリットを得たい場合に開業届と青色申告承認申請書を提出すればいいわけです。

一方で「確定申告」というのは、本人の意思にかかわらず年間所得(1月1日〜12月31日)が20万円以上になる場合は必ずしなければなりません。所得とは副業で得た売り上げから経費を引いた金額のことです。

確定申告の対象に該当するにもかかわらず申告をしなかった場合は、故意か無意識かに関わらず罰則があります。

ここが少しややこしいところですが、副業で開業届を出しても年間の所得が20万円以下の場合は、確定申告をする必要はありません。

つまり、開業届=確定申告ということではないわけです。

逆に言うと、開業届を出していなくても年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になりますので注意が必要です。

副業として年間所得が20万円を超えるということは、規模は小さいですが副業が成功していると言えます。いずれにしろ確定申告に慣れることが必要ですが、どこかでのタイミングで開業届を出して税制面のメリットを受けることを考えるのがいいと思います。

ついでですが、開業届を出しても本業の会社に何か連絡があるわけではありません。

会社にバレるかどうかは、確定申告の際に選ぶ住民税の徴収方法に関係しますので、詳細はこちらの記事でご覧ください。

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開業届を提出するメリット

それではここから開業届を出すメリットを紹介します。

青色申告により「事業所得」から最大65万円を控除できる青色申告とは、開業届の所得の種類にあたる、事業所得、不動産所得、山林所得にのみ認められた制度です。

開業届を提出する際にあわせて青色申告承認申請書を提出し、確定申告の際に複式簿記で作成した決算書類を提出すれば、最高55万円分(電子申告なら65万円分)を所得から控除することができます。

所得金額が安くなると所得税や住民税の計算における「課税対象の金額が安くなる」ということになりますので、結果として手元に残せるお金が大きくなります。

青色申告により家族への給与を全額「経費」にできる

家族への給与は原則として経費として認めてもらえません。しかし青色申告することで「15歳以上の家族へ払う給与」に関して基本的に全額を必要経費に入れることが可能になります。

ちなみにこの対象となる人は「青色事業専従者」と呼ばれますが、扶養控除などの所得控除との併用が出来なくなるため、その点は注意でする必要があります。

一方で「白色申告」の場合は、一定額(配偶者:86万円 その他親族:50万円)のみの控除が可能となっています。このように、開業届を提出して事業所得とすることで経費の範囲が広がり、節税効果を得ることができます。

青色申告により損益通算を行い、赤字を繰り越すことができる

損益通算は、対象の所得(不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得)に赤字があった場合、損失分を総所得金額などから控除できる制度です。

サラリーマンの場合は、副業で赤字が発生した際に給与所得と損益通算をすることによって、総所得金額が圧縮されその分所得税を節税することもできます。

しかし開業届を出さず雑所得として処理する場合には損益通算はできません。開業届を提出し事業所得にすることで損益通算による節税メリットを受けることができるわけです。

また、損益通算でも控除しきれない事業所得の赤字があったときは、赤字分を3年間繰越すことができるようになります。

繰越した分は翌年以降の所得から控除できるので次年度の節税につながります。

開業届が不要な雑所得の場合は、損失繰越しの制度はありませんので赤字が発生しても翌年以降に持ち越すことはできません。

屋号を持つことができる

開業届を提出する際は「屋号」を決めて提出します。

一般的に開業するお店の名前や会社名とするケースがほとんどですが、この屋号を持つことで「自分のビジネス感」が一気に高まります。

さらにこの屋号で銀行口座を開設することができます。個人名ではなく屋号の銀行口座にすることでお客さんや取引先の信頼感に大きな差が出てきます。

また、プライベートの口座と副業としての屋号付き口座を明確に分けることができますので、副業の収支管理が容易になります。

確定申告をする場合は経費の記録を正確に行う必要が出てきますが、屋号付き口座で一元管理することで申請書類の作成が容易になります。

社会的信用が多少増し経験値も上がる

現在は誰でもちょっとした副業を行うことができる時代です。

そのような中で開業届を提出していることでお客さんや取引先に本気度を伝えることができます。

また開業届を出すことで税務署から確定申告やその他、税金に関する情報が届くようになりますので必然的に知識も増えていきます。

将来独立を考えている場合は、小さな規模で副業を行う間に経験値を上げておくことができると言えます。

開業届を提出するデメリット

次に、開業届をすることのデメリットを説明していきます。

失業手当が受けらない可能性がある

一般的に会社員は、勤務している会社で雇用保険に加入しているため、離職から2年間の失業期間中はハローワークで「失業給付」を一定期間受けることができます。

ところが給付の条件の1つに「本人に再就職する意思と能力があること」という項目があるため、開業届を出している=自営業者=再就職の意思はない、とみなされ給付できなくなる可能性があります。

この点は開業届を提出するデメリットとしてサラリーマンは慎重に判断するべき大きなポイントと言えます。

青色申告を選択すると手間がかかる

先ほど開業届の際に青色申告を選択すると様々なメリットがあることを紹介しました。

そのようなメリットを享受するため、確定申告の際には幾分手間がかかるようになります。例えば青色申告で55万円の控除を受ける場合は、複式簿記による厳密な会計処理を行う必要があります。

確定申告をする場合でも、副業として行いあまり手間をかけたくない人は、開業届をせず簡単な方式で確定申告を行うという選択肢もあります。

開業届の出し方

副業を個人事業にしたい場合は、管轄の税務署に開業届を提出します。

開業届は、税務署でもらうこともできますし国税庁のHPからダウンロードも可能です。独立して起業する際の開業届も副業として提出する開業届でも書式や提出方法に違いはありません。

開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と言いますが、原則としては開業から1カ月以内に所轄の税務署長に提出することになっています。

上で紹介した青色申告を選択する場合は、この時に同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出することになります。開業届には、「屋号」や「事業の概要」を記入する欄がありますので、あらかじめ考えておくとスムーズです。

屋号はもちろんですが、事業概要については特にチェックされたりすることはありませんので、一般的にわかる内容で記載して大丈夫です。

この開業届ですが、現在では会計ソフトのサービスを利用すれば、ステップに沿って必要事項を記載するだけで、誰でも簡単に準備をすることができるようになっています。

また、私自身開業届を提出する際は何かしらの面談や審査があると思っていたのですが、実際は拍子抜けするほどあっさりしていて、書類に不備がなければ事務的に処理されてあっというまに終了します。

以上、開業届についてご紹介しました。開業届を出すかどうか、選択肢がある場合は人ぞれぞれの判断となります。

しかし本気で副業に取り組みたい、将来的に独立したい、と考えている場合は、開業届を提出し確定申告も行うことで、間違いなく経験値として学べることがあります。今後副業に取り組む過程で是非参考にしてみてください。

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