コロナ禍以降、誰もが知る大手企業でも相次いで希望退職者を募集するというニュースが目立っています。
また「人生100年時代」が声高に叫ばれ、これまで定年とされてきた60歳以降も働くことが普通になる社会が到来しつつあります。
どんな有名企業や大企業に勤めていても生涯安泰ということはなくなり、働き方そのものが大きく変化しているんですね。
50代や60代以降も安定した生活基盤を維持するためには、今のうちに転職しておくというのも、最も現実的かつ有効な手段となりえます。
ただ既に30代後半~40代に突入しているサラリーマンにとって、希望の会社に転職するのが難しい状況となっているのも事実です。
そこで今回は、30代後半~40代のサラリーマンが転職を成功させるための具体的なコツをいくつかご紹介します。
30代後半~40代の転職で最初に抑えるべきポイント
1-1. 求人案件の性質を理解する
おそらく初めての転職の場合、まずは転職サイトに登録して、そこで求人を検索して転職先を探そうと考えている人が多いと思います。
もちろん間違いではありませんが、転職サイトの求人と転職エージェントの求人の違いを理解しておく必要があります。
まず転職サイトに掲載される求人は、どちらかというと採用に費用をかけたくない会社か、費用をかける余裕がない企業が掲載している傾向があります。
もちろん一定期間募集を出すことで費用が発生しますが、掲載企業はそれ以上の費用を出す必要はありません。
それに対して転職エージェント経由で採用を行う場合は、紹介された人材が入社した場合、その年収の30%程度を転職エージェントに支払う必要があります。
仮に年収500万円で入社した場合、約150万円もの報酬を転職エージェントに払う必要があるわけです。
それでも転職エージェントを利用するということは、つまりそれだけ本気度が高い、ということと、採用にお金をかける経営地盤がある、ということが言えます。
1-2. 具体的なスキルの棚卸をする
当然ながら新卒採用と違って転職の場合は「やる気」だけでは入社できません。
いわゆるポテンシャル採用が行われるのは第二新卒までです。
転職の場合は、企業も応募者に対して具体的な経験とスキルがあることを前提としており、応募者はそのスキルを入社後に再現できることを証明する必要があります。
そのため、これまでの経歴を丁寧に振り返り、客観的にわかる実績を洗い出すことが大事なのです。
よくあるケースですが、自分には特別なスキルや実績がない、と思い込んでいる人がたくさんいます。
しかし自分では当たり前だと思っていた業務上の経験でも、求人企業からみると価値がある場合もあります。
そのため、先入観を持たずに洗い出してみることが大事です。
そしてその際は、できるだけ具体的な数字を交え、多少大げさにアピールするくらいで構いません。
営業職の場合は、「前年実績110%を達成」「営業メンバーの中でNo.1を獲得」などと書くケースが多く見受けられます。
もちろんそれでいいのですが、その場合はさらに具体的な数字、例えば
「2019年に3000万円だった売上を、〇〇をすることによって翌年には3500万円に伸ばした」
など具体的な成果を記載するようにしてください。
1-3. 必ず時間をかけて準備する
30代後半~40代の転職の場合、多くの人が自分で予想よりも苦戦するのが現実です。
多くの人がほとんど準備をしない、というのがその理由の1つです。
特にマネージャー経験があって自分も採用する側の経験をしている場合は、「大体わかっている」と思い込み、面接の練習をしないで本番に臨んでしまうことがあります。
しかし転職の面接は、多少準備をした程度で通過できるほど甘くはありません。
しかも転職の場合は必然的に「本命」となる企業、とくに一番行きたい会社から応募するため、
最も経験値が低い状態で志望度の高い企業の書類審査(面接)を受ける
という状況が発生します。
残念ながらこのような場合は、どんなに志望していても本当にあっさり落ちます。
よほど優秀な人でない限り、練習しないで面接をしてもほとんど通用しないのです。
そもそも30代後半~40代の転職はもともとハードルが高くなっているため、書類審査を通過することすら難しくなっています。
そのため応募書類も何度か改善を重ね、自己PRや志望理由を徹底的に磨いておく必要があるのです。
仕事の経験も豊富で優秀なサラリーマンほど油断してしまうのですが、1回目に書いた職務経歴書や志望理由というのはまだまだ改善余地があることがほとんどです。
実際時間をかけて何度も修正することで、大幅にブラッシュアップすることができます。
そのためには、ある程度の準備期間も必要となるため、転職活動は準備に時間をかける必要があるのです。
今は転職の意思がない場合でも、日ごろから準備をしておくといざという時に余裕が生まれますよ。
さらに言えば、もし余裕があるなら優先度の低い会社も何社か受けてみると、面接の感覚が磨かれ、より質の高い準備ができるようになります。
1-4. 転職エージェントを利用する
年齢が高い転職者の場合、最初から転職エージェントに相談する気がない人も多くいます。
若いエージェントに根掘り葉掘り経歴を聞かれるのを嫌う人もいます。
また、転職エージェントから見ると転職希望者は商品ということになりますので、そのことを嫌う人も一定数います。
しかし結論としては、この年代の転職の場合は転職エージェントを使う方が確実に転職を成功させる確率があがります。
転職エージェントは実際に多くの転職者に接しているため豊富な情報を持っており、的確なアドバイスをくれる事も多からです。
餅は餅屋、と言いますが、転職エージェントからしか聞けない情報も確実に存在します。
例えばエージェントは、自社で保有している求人案件について、登録者の何名が注目していて実際に何名が応募済みか、さらにそのうち何名が書類を通過しているか、といった情報も持っています。
また、未公開求人といって、そもそも公開されていない求人案件の情報を持っており、該当する場合に紹介してもらうことなどもできます。
なので、こちらもうまく活用すればいいのです。
そのため、転職エージェントとはいい関係を築くことをおすすめします。
転職エージェントに登録すると、まず担当者と面談をすることになります。
そこでは不利なことを隠したり、見栄を張ったりする必要は全くありませんので、すべて正直に話すようにしてください。
そもそもこのエージェントとの面接自体も、本番の面接の練習にもなります。
また、気になっていることや疑問点があればどんどん聞いて情報収集することも可能です。
遠慮する必要はありません。
ただし、自分自身も転職経験がないような若手のエージェントが担当者になる場合もあります。
もちろん転職エージェント側も、ある程度登録者の年齢とエージェントの年齢は合わせてきます。
ただ、それでも合わない場合もありますので、その場合は迷わず別の会社を試したほうがいいでしょう。
1-5. 直接応募も試してみる
一般的に企業は、退職者が発生して補充が必要だったり、組織を拡大したい場合などに転職サイトやエージェントを利用します。
企業が本気で採用を行いたい場合です。
一方で、転職サイトに掲載せずに自社のwebサイトで求人案内を掲載している会社もたくさんあります。
特に規模の小さい会社では、もっとも費用が掛からない採用方法として通年掲載されている場合もあります。
こういったケースでは、企業は常に採用の門戸を開いており、「いい人材の応募があれば検討したい」という背景があります。
転職を希望する際、このような企業のwebサイトから直接応募する方法もあります。
直接企業のwebサイトを見て応募するメリットは、本気度が高いと評価される傾向があることです。
反対にデメリットとしては、求人が掲載されたままになっているだけで、実際は採用するタイミングではない可能性もあることです。
転職サイトに求人を出している場合は「必ず誰かは採用したい」という状況ですが、自社サイト掲載の場合は「必ずしも採用しなくてもいい」という状況であるため、結果的に採用のハードルが高くなる傾向もあります。
ただ仮に同じスペックの候補者が二人いた場合、転職サイト経由よりも直接応募の方が通過する確率はあがりますので、本気度が高い場合は挑戦してみる価値はあります。
転職の面接で必ず聞かれる質問とその準備
次に転職の面接で必ず聞かれる質問についてご紹介します。
多少の変化はあっても、転職者の場合ほぼ聞かれる内容は決まっています。
反対に言うと事前に準備しやすいということになりますので、徹底的に磨いて磨いて、さらにそれをしゃべる練習をしておくことで成功率を上げることができます。
2-1. 自己紹介(自己PR)
一般的には、一番最初に聞かれる質問です。
逆に最初にこの質問を聞かれない場合は、その後も変わった質問が来る可能性も考慮した方がいいでしょう。
自己紹介や自己PRは、以下のような形で聞かれます。
「最初に〇〇さんの自己紹介をお願いします」
「これまでの経歴について簡単に紹介してください」
「現在の業務について紹介してください」
少し変化があるとすれば、
「これまでの業務について実績を交えて紹介してください」
などです。
自己紹介でまず守らなければいけないのは、
まずは「端的に話す」ということです。
時間にすると2分程度、長くても3分には収めましょう。
最も避けなければいけないのは「話が長い」と思われてしまうことです。
面接官は、応募者が話が長い人だと思った瞬間、かなり評価を下げます。
要点をまとめることができない⇒論理的思考にかける⇒仕事もできない、と判断するためです。
反対に、40代で業務経験は長いはずなのに1分未満で終了してしまうと、さすがに短いと思う人もいもいるので注意してください。
また、自己紹介であっても最初に結論的なものを持ってくるとわかりやすい印象を与えることができます。
自己紹介で結論を言うのは難しいですが、例えば
「私はこれまで一貫して代理店営業に携わってきました、具体的には~~」
「これまでwebマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスと全ての営業ポジションを経験してきました、具体的には~~」
などです。
ざっくり自分の主軸を提示して、直近の業務からそれに沿った業務経験を紹介するようなイメージです。
もし「自己紹介」ではなく「自己PR」をお願いします、と言われた場合も概ね同じ構成です。
ただその場合は、冒頭に「自分の強みは〇〇です」と具体的なスキルをわかりやすく提示する必要があります。
その場合はそこで提示するスキルが、その企業が採用する人材に求めているスキルと合致するものである必要があります。
そのため、事前に求人情報を読み込むことが非常に重要となります。
自己PRの場合は、まず最初に自分の強みを提示して、その後に具体例や実績を紹介します。
そしてさらにその力が入社後に発揮できることをアピールします。
例えば法人営業の場合、
「私の強みは上位のレイヤーでも深く入りこむコミュニケーション力です。他社事例を常にアップデートし、最新の事例に精通することで信頼関係を築いてきました。実際に担当している顧客の7割にあたる約50社で直接経営層に提案を行っています」などです。
さらに「御社の〇〇サービスを販売するうえでは、中小企業の経営者と長く信頼関係を構築する必要があると思うが、このコミュニケーション力を発揮して新規クライアントに入り込むことができる」といった具合に、入社後に活かせることを補足するといいでしょう。
また、オンライン面接の場合の裏技ですが、状況が許す範囲で画面共有を使うのも1つの方法です。
例えば在籍している企業のコーポレートサイトの中で商品を紹介している写真が載っていたり、大型の展示会で登壇している写真などがあれば、見せてしまうのです。
そのような過去の働きぶりがわかる情報は、採用側も積極的に知りたい内容です。
業務で作成した資料を共有するのはNGですが、現在もwebに乗っているような情報であれば支障はなく、大きなアピールにもなるのです。
2-2. 志望理由
続いて必ず聞かれるのが志望理由です。
この質問が出ないということはまずありません。
逆に言うと、100%事前に準備できる内容なので、この部分を徹底的にとがらせる必要があります。
志望理由は次の3つのポイントから組み立てるのが理想です。
- 転職における自分の軸足(=働く上での大前提=最優先事項)を提示する
- それを踏まえ、御社はこれこれこんな特徴のあるサービスを展開していると説明
- それが自分の転職の軸と合致しているため御社で実現したいとアピール
志望理由と言うと、とかく「御社は御社は、、、」と相手の会社のことをいいがちですが、まず自分の転職軸を明確に示し、それがその会社とマッチしているということを説明します。
また、前職と業界が変わる場合は、上記の「2」で応募企業の特徴を述べる前に、まずその業界について述べ、その中でも御社が(上記の)「1」に合致するんです、ということをわかりやすく伝えるようにしましょう。
また、もし志望する企業が一般的にメジャーな会社ではない場合、その会社を知ったきっかけを差し込むとスムーズに話をすることができます。
仮に転職活動をする中でその企業を初めて知ったとしても特に隠す理由はありません。
「実はこれまで存じ上げなかったが、〇〇がきっかけで興味を持ち、いろいろ調べたらこんなことやあんなことがわかって、自分の〇〇という軸に合致していた」と持っていくことができます。
それがつい先週の話、といった場合はさすがに印象が良くないので、昨年のことですが、など多少は色付けした方がいいでしょう。
この場合は、さらにその流れで企業研究をしていることをアピールすることも可能です。
志望理由については、特に本命の場合は徹底的に研究する必要があります。
求人内容を隅から隅まで読み込むことは当然ですが、webサイトのすべてのページ、SNS、Youtube、Googleのニュース検索で出てきた記事、さらに競合会社の情報など、とにかく徹底的に調べ上げるつもりで情報収集するのといい結果に繋がります。
2-3. 転職理由
転職理由も必ず聞かれる質問の1つです。
企業が転職理由を聞くのは、前職を辞めたい背景にネガティブな要因があるのかということを確認したいためです。
もっと言えばその応募者がなんらかネガティブな傾向を抱えた人なのかどうか、ということが知りたいわけです。
ブラック企業という言葉がすっかり定着していますが、企業側も見ず知らずの応募者に対して「ブラック人材ではないか?」「何かあるとすぐ辞めるのではないか?」という不安を持っています。
そのため、前の会社を辞める理由を確認しておきたいわけです。
多くの転職の場合、実際にはやはり人間関係や待遇の不満などのネガティブな要因があります。
しかしもちろんそういった後ろ向きなことを言ってはいけません。
上司や同僚と合わない、などといった理由は絶対に避けるべきです。
そこで事実をベースにして前向きな言い方に変えるわけですが、ここで大事なのは志望理由と一貫性を持たせるということです。
つまり、転職することで現在抱えている問題を解決し、自分が目指す方向に進みたい、そこで具体的にこれを実現したい、というストーリーを作ります。
面接官によりますが、退職理由に対して
「それは今の会社では実現できないのですか?」
「なぜ現状で実現できないのですがですか?」
などと返される例もあります。
その際は、
「上司に相談したが現在の経営方針では実現できないことが分かった」
「異動願を出したが可能性はないと言われた」
「携わっているサービスから撤退することが決まってしまった」
など、採用側が納得できる理由を返せるように準備しておいてください。
転職エージェントの上手な使い方
最後に転職エージェントの上手な活用方法をご紹介します。
まず初めて転職エージェントを利用する場合は、その仕組みを理解しておく必要があります。
転職希望者は、転職エージェントのほぼすべてのサービスを無料で利用することができます。
転職エージェントは、転職希望者に案内した会社で採用が決まれば、その会社から成功報酬を受け取る仕組みになっているのです。
反対に言えば、いくら丁寧にサポートしても入社が決まらなければ報酬がもらえない、ということになります。
そのため、最終的には転職希望者が望む条件よりも、とにかく入社できる会社に入ってもらいたい、という傾向があるのも事実です。
その点で、人材業界にとっては、転職希望者が商品と言えます。
それでも転職エージェントは、求人の紹介はもちろん、面接のアドバイス、日程調整などの他、内定をもらった際の給与交渉までしてくれるので頼りになる存在でもあります。
ただ、あまりにも希望する内容と違う求人ばかり紹介される場合は、エージェントにしっかり伝え、それでも改善されない場合は早々にエージェントを切り替えるのが得策です。
また、転職エージェントの中には2種類のスタッフがいることも覚えておきましょう。
1つは、転職希望者を担当するスタッフで、もう1つは採用企業に対応するスタッフです。
前者はBtoCとなり、後者はBtoBとなります。
この2種類の担当者が2重構造になっているのです。
つまり、転職希望者⇒転職希望者担当エージェント⇒求人企業担当エージェント⇒求人企業、という流れがあるわけです。
このように転職希望者との面接を担当するエージェントは、直接求人企業と接しているわけではないため、具体的な企業の情報を聞いてもすぐに回答が返ってこない場合もあります。
また、転職希望者も「人」ならエージェントも「人」です。
どうしても相性もありますので、最低1社、できれば2~3社のエージェントと面談するくらいでちょうどいいのです。
最後にまず登録すべき転職エージェントと転職サイトをご紹介しておきます。
以上、30代後半~40代の転職を成功させるためのコツをご紹介しました。
この年代の方は、かなり厳しい戦いになる、という覚悟を持っておくとあっさり落ちた際のショックも和らぎます。
すぐに決まるとは思わずに、時間を取って準備するようにしてください。
特色のある転職サイトはこちらからどうぞ
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