今回はこれまで副業に取り組んできた私の経験を踏まえ「本業でも副業でも有益なビジネス書」を6冊ご紹介します。
ちなみに「効率的なビジネス書の読み方」についてはこちらの記事をご覧ください。
それでは早速、おすすめのビジネス書6冊を紹介していきます。
ストーリーとしての競争戦略(楠木 建)
先に行ってしまうと実はこの本は再現性が低い内容ではあります。
何故ならこの本で出てくる「戦略」は非常にスケールの大きな話であり、
実際に取り上げられる事例が「スターバックス」「サウスウエスト航空」
「マブチモーター」「アスクル」など軒並み大手企業となっています。
ただ、戦略とは何かという本質を考察し、戦略を作るためには
何が必要となるか、ということを学ぶことができます。
その点で、本業より(所属する会社の戦略策定に関わっているような方は別として)
むしろ副業のほうにその「考え方」を生かすことができると思います。
サラリーマンが始める副業は大体種類が限られており似たり寄ったりとなりますが、
その中でもこの本で学んだ考え方を生かせばちょっとした「差別化」をすることが
できるかもしれません。
実際著者は、「戦略の本質とは「違いをつくって、つなげる」ことである」
と言っています。
そして違いの作り方には以下の2つの方法があると説明しています。
- SP (Strategic Positioning)
- OC (Organicational Capability)
SPというのは、事業の何に力を入れ、他社との違いを生み出すか、
という方法で、言い換えると「他社と違う戦い方をする」という考え方です。
SPを考える際に重要な点は、「何をやり、何をやらないか」を明確にする事だ
と言っています。
いわゆる「選択と集中」ですね。
一方でOCは「他者と違うものを持つ」という考え方です。
これは、組織の文化やオペレーションシステム、業務フローにおいて他者との
競争優位を作るという方法です。
本書では、このように違いを作ることを説明し、その後はその違いをストーリー
にする必要があると説明しています。
そして「ストーリーにするために重要な要件を「戦略ストーリーの5つのC」として
以下5点を挙げています。
- Competitive Advantage(競争優位)
- Concept(コンセプト)
- Critical core(クリティカル・コア)
- Component(構成要素)
- Consistency(一貫性)
の頭文字をとった考え方です。
ここでは詳細は省きますが、この中でコンセプトとクリティカルコアの事例が
印象深いものでしたのでいくつか紹介します。
いずれも誰もが知っている成功企業だと言えますが、その背景にあった「戦略」が大変興味深いですね。
大企業でも経営不振に陥る事例も多くありますが、反対に確固たる戦略に基づいて
成長した企業の事例はいずれも「なるほど」と感心させられるものばかりです。
そして最後に著者は、「ストーリーとしての競争戦略」において
“一番大切なこと”は「抜き差しならない切実なものがあることだ」と言っています。
この場合の「切実なもの」とは、自分(自社)がどうしても実現したいことに加えて、
自分以外の誰かのためになることを指します。
この点は、副業を始めるとき、もしくはある程度基盤が整ってさらに成長を
目指す際の戦略策定において、普遍的な意味を持っているような気がします。
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと(マーカスバッキンガム)
幾分古い本ですが、この本は類似のテーマのビジネス書にも少なからず影響を
与えていると言われています。
会社内での部署やポジションにもよりますが、この本は長期的な視野で
再現性が高い本だと思います。
本書では、「マネジメント」、「リーダーシップ」、「個人の継続的な成功」
の 3 つの主題について、それぞれ最も重要なことは何かということが書かれています。
会社員は30代になると部下ができたり、1つのチームをマネジメントするような
機会があると思います。
この本はマネージャーとして大事なことがシンプルに説明されている良書ですので、
何らかの肩書が名刺に入るようになった方にはおすすめの1冊です。
この本の中で著者は「マネージャー」と「リーダー」は全く別のもので求められる役割や
ミッションが異なると説明していますがその要点は以下のようなものです。
この本の後半では、個人が継続的に成功するために大切なたったひとつのことは、
自分がしたくないことを見つけ出しそれをやめることだと説明しています。
人が最も多くを学び、やりがいを感じるのは強みの分野であるため、個人にとって
弱みを克服することは重要ではないと言っています。
が、個人的にはそれができればいいとは思いますが、この点については、
個人的には少し違う意見を持っています。
相当大きな部署のトップなどはそれでもいいかもしれませんが、
一般的な会社の部署の場合はある程度業務に精通していないと
チームメンバーからの信頼を得ることは難しいのではないかと感じます。
例えば、営業はできるが細かい伝票の処理は苦手、とかプレゼンはうまいが資料作成は苦手、
などそれなりにおちゃめな感じもしますが、伝票1枚を正確に処理してこそ、
周囲の信頼を得られるような気がします。
スティーブ・ジョブズの脅威のプレゼン(スティーブ・ジョブズ)
言わずと知れたアップルの創始者であるスティーブ・ジョブス氏の本ですでが、
この本はめちゃくちゃ再現性が高い本です。
特に営業職などで実際にプレゼンをする機会がある方にとっては来週の
プレゼンから生かすことができると思います。
読みやすい本ですのですぐに終わりますが、ポイントとして本書で書かれている
18項目をご紹介します。
■人々を惹きつけるプレゼン 18の法則
- 構想はアナログでまとめる(ストーリーを作る)
- 一番大事な問いに答える
- 救世主的な目的意識を持つ
- ツイッターのようなヘッドラインを作る
- ロードマップを描く(主要メッセージを 3つまで絞り込む)
- 敵役を導入する
- 正義の味方を登場させる
- 禅の心で伝える
- 数字をドレスアップする
- 「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う
- ステージを共有する
- 小道具を上手に使う
- 「うっそー!」な瞬間を演出する
- 存在感の出し方を身につける
- 簡単そうに見せる
- 目的に合った服装をする台本を捨てる
- 楽しむ
- 全体の中で特に著者が重視しているのは、プレゼンをする際はいきなりスライドを
作り出したりしないで、「なぜ必要なのか」という問いに答えるためのストーリーを
作りこむことだと説明しています。
そのために必要な準備や考え方も多く紹介されていますが、この要点はプレゼンはもちろんサラリーマンが日常で遭遇する会議の発表でも共通しています。
例えば前月の活動状況を報告するだけに見えても、部署の置かれた立場や求められる
ミッションを考慮して、伝えたい目的を設定しそこに向かうストーリーを作ることで
発表によりメッセージ性を持たせることができるようになります。
冒頭で再現性が高いと書きましたが、このようなスキル系は一度覚えると様々な
シーンに応用が可能ですので、特に若手のサラリーマンにはおすすめの1冊です。
以上、おすすめランキングの中でも特に記憶に残っている3冊ですので解説も長くなってしまいましたが、以下のランキングも簡単に紹介します。
経理以外の人のための日本一やさしくて使える会計の本(久保 憂希也)
タイトルにある通り、これは財務経理系以外の方へおすすめの一冊です。
経理に直接携わることのない会社員でも最低限の経理知識は絶対にあった方がいいです。
特に年齢が上がり、部署の予算計画などに携わるようになった際、
最低限の経理知識が必要になるシーンが必ずあります。
そうでないと収支計画が立てられなかったり、上司や他部署への説明ができず
慌てて勉強する、などという状況になってしまいます。
そのため会計知識はできるだけ早い段階で知識として身に着けておくことを
お勧めします。
営業や企画系の部署の場合、経理業務に実務で関わることはなかなかできません。
そこで勉強と実益を兼ねた実戦練習として、取引先企業のホームページで
決算資料を定期的にチェックすることをお勧めします。
いきなり取引先の方とその会社の決算の内容について会話するのは避けた方がいいですが、
身近な企業の取り組みについて、より正確に把握することができるようになります。
また副業を始める際も、経理自体は会計ソフトに任せることができるようになっていますが、
やはりできるだけ制度の高い収支計画を立てることが必要になってきますので、
早い段階で会計本を一冊読むことをお勧めします。
ロジカルシンキング(照屋 華子、岡田 恵子)
一時期ビジネス書界隈で「MECE(ミッシー)」や「So What? / Why so?」
といった言葉が流行りましたが、それらは世界最高峰のコンサルティング会社の
1つであるマッキンゼー社のコンサルタントが駆使していると言われている
フレームワークの一例です。
この本は、どのようなビジネスマンでも押さえておくべき
「論理的な思考法(ロジカルシンキング)」について、そのマッキンゼーで活躍していた著者が
じきじきに説明した本です。
ビジネス書の読者は一度は手にする分野の1つだと思いますが、その中では最も著名な本の
1つでもあります。
ロジカルシンキングに一度も触れたことがないビジネスマンは必読の一冊と言えます。
ビジネスモデルの教科書(今枝 昌宏)
最初にご紹介した「ストーリーとしての競争戦略」は、戦略の本質について
丁寧に説明し、いくつかの代表例を挙げてその内容を解説している本ですが、
こちらはさらに多くの事例をピックアップしその一つ一つの戦略をカテゴライズ
しながら解説している本です。
続編として上級編がありますが、私は類似の本を読んでいたことと、副業の計画を立てる際に情報収集したかったので上級編を読みました。
著者の取材は100社以上にも及び、それぞれの事業の仕組みごとに解説を加えています。
本の中で著者はビジネスモデルのことを「儲ける仕組み」と言い切っていますがまさにその通りではないでしょか。
多くの稼ぐ仕組みとその事例が掲載されていますが、現在多くの業界で主流に
なっているサブスクリプションを早い段階で仕組化している事例なども興味深い
内容となっています。
こちらも再現性は決して高くない内容ですが、規模を縮小したり形を変えるなどして
自分の本業や副業に生かすことができれば、具体的に優位性を築くことができるのでは
ないでしょうか。
番外編 サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(三戸政和 )
さて、最後に個人的に思い入れのあるビジネス書をご紹介します。
「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいをやってみた」で紹介していますが、
私が個人事業主としてとある学習塾のオーナーになる直接のきっかけになった1冊です。
(別記事の通り現在は撤退しています)
その意味で私にとっては
再現性100%のビジネス書
になりましたが、今思えば著者が書いている趣旨を私が完全に理解できていなかった
部分はあったと思います。
結果としては撤退して今に至っているわけですが、大きな気づきや
刺激的な経験のきっかけになった本として大変感謝しています。
小さく始めて大きく育てる、という順序がとりにくい方法ではありますので
すべての方にお勧めできるわけではありませんが、今後ますます個人M&Aも
盛んになると思いますので広くアンテナを張るという意味ではおすすめの一冊です。
というわけでとあるサラリーマン独断と偏見のビジネス書6選でした。
折からのコロナ禍で書店も大打撃を受けているようですが、インターネットで
情報があふれているとはいえ本が貴重な情報源であることに変わりはないと思います。
興味のある本を手に取って読むことも間違いなく1つの前向きな
「行動」ですので、ご紹介したビジネス書で気になるものがあれば
ぜひ読んでみてください。
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