年の瀬になるといろいろな恒例行事を思い出す人がいると思いますが、確定申告の準備を思い出す個人事業主の方も多いと思います。
最近はサラリーマンの副業も増加しているため、会社員の方でも初めて確定申告をする、というケースも増えています。
確定申告は税務署相手の申告となるため、以前は個人事業主を悩ませる手間のかかる手続きでした。
しかし最近では、国税庁もweb経由の確定申告を推奨しており、さらに会計ソフトを活用することで比較的容易に完了することができるようになっています。
そこで今回は、実際に副業で収入を得たことにより初めて確定申告をする、という方向けに確定申告の基礎知識と具体的な方法、さらにおすすめの会計ソフトをご紹介します。
副業でも確定申告をしなければならないケース
まず最初に、そもそも確定申告はどのような場合にしなければならないのかについてご紹介します。
「それはもう知っている」と思う方もいるかもしれませんが、仮想通貨の売却益など、最近新たに発生している注意事項もありますのでご覧ください。
絶対に確定申告しなければならないのは、以下に該当する人です。
- 副業での所得(仮想通貨の利益も含む)が20万円以上となった人
- 2つ以上の会社から給与をもらっている人
- 年収が2000万円以上の人
- 親などから110万円を超える贈与を受けた人
- マイホームを売却して利益が出た人
上記に該当するのに確定申告をしないと、脱税=法律違反になります。
この中でも注意したいのは、サラリーマンが副業を開始しその所得が20万円以上となった場合です。
特にクラウドソーシングやブログアフィリエイトなど、webで業務が完結するビジネスは申告を忘れがちです。
副業が会社にバレないように確定申告をする方法はこちらの記事をご覧ください。
副業を始めてから何年か後に初めて20万円以上の所得を得たという場合は、忘れていたり「まあいいか、、、」となりやすいので気を付けてください。
一見自分の口座に直接報酬が払われるため外からは分からないようにも思いますが、報酬として支払った側の会社は会計処理の中で支払い相手先を申告していますので、調べればわかるようになっています。
また、ここ数年盛り上がっている「仮想通貨」で利益が出た場合も注意が必要です。
仮想通貨は、仮に値上がりしていても所持しているだけでは確定申告の対象にはなりません。
利益確定をして初めて確定申告の対象となります。
この仮想通貨の売買で得た利益は「雑所得」に該当します。
そのため、副業では例えば15万円の利益のみだったとしても、仮想通貨の売買でも10万円の利益があった場合は、雑所得の合計が20万円を超えるため、確定申告の対象となります。
確定申告をした方がいい人
反対に以下に該当する場合は、確定申告をすることでお金が戻ってくるケースがあります。
これは、利用している制度が源泉徴収に対応していなかったり、本来より多く税金を払っていたりする場合です。
これに該当する場合は確定申告をしなければならないということはありませんが、確定申告をすることでお金が戻ってきます。
- 家族全員の医療費が年間10万円以上かかっている人
- 住宅ローンでマイホームを購入した人(初年度のみ、次年度以降は年末調整で可能)
- ふるさと納税などで寄付をした人(ワンストップ特例を使った場合は不要)
- 投資や副業で損失が出た人
- 年の途中で退職し年末調整を受けていない人
サラリーマンで特に注意したいのは医療控除とふるさと納税です。
医療費は家族全員分を合わせても年間で10万円を超えることはあまりありませんが、子どもの歯科矯正をした場合は軽く30万円を超えることもあります。
一般的に美容目的の歯科矯正は医療控除の対象になりませんが、子供の発育上必要な歯科矯正の場合は医療控除の対象になります。
また、覚えておきたいのは通院にかかる交通費や薬代も対象となることです。
子どもが通院する場合は親の付き添いが必要ですので、その交通費も対象となります。
交通費は通院の日付と合わせて詳細を記録しておくことで対応が可能です。
ただし自家用車のガソリン代は対象になりません。
また、ふるさと納税を行った際も確定申告は必須となります。
寄付した箇所が5か所以下の場合は「ワンストップ特例制度」を利用すれば便利です。
もしワンストップ特例制度を利用しない場合は、確定申告で寄付の控除をしないとふるさと納税による恩恵を受けることができなくなってしまいます。
確定申告の方法
それではここから確定申告の具体的な手順をご紹介します。
確定申告をするには大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 税務署(確定申告会場)に直接行って確定申告を行う
- 税務署に確定申告書を郵送する
- インターネット(e-Tax)で確定申告する
以前は直接税務署に申告に行く方法が主流で、その時期になると確定申告会場で列に並ぶ個人事業主の映像がよくニュースで流れていましたね。
現在でも多くの人が利用しますし、初めて行う場合は勉強もかねて直接会場に行くのも1つの方法です。
税務署の担当者は不明点について丁寧に教えてくれます。
ただし、記入漏れがあったり証票が足りなかったりした場合は、修正して再度訪れる必要もあります。
この方法は時間も手間もかかりますので、よほど直接窓口で手続きをしたい人以外はお勧めしません。
もし直接税務署に行く場合は、確定申告受付開始後できるだけ早く行くのが得策です。
なんでもそうですが、締め切りが近づくほど混雑するため、時期が後ろになるほど待ち時間が長くなります。
「2」の郵送も、同じく書類に不備があった場合のやり取りに相当な手間と時間がかかりますのでお勧めできません。
サラリーマンが副業により確定申告を行う場合、最も現実的なのは、「3」の「e-Tax」を利用する方法です。
e-Taxとは、国税庁が運営する電子申告・納税システムのことで、確定申告もこのe-Taxを利用すれば、自宅からスマホを使って完了することもできます。
副業による確定申告は、現在ではこの方法が最も手間がかからず簡単な方法です。
しかも会計ソフトを利用すれば、e-Taxと連携して必要な書類を簡単に作成することが可能です。 本当にびっくりするくらい簡単に終わりますよ。
サラリーマンが副業の確定申告をする手順
確定申告の手順は、大きく以下の3つのステップとなります。
- 必要な書類を準備する
- 確定申告書を作成する
- 申告書の提出方法を選択して提出する
それでは1つずつ説明していきます。
4-1.必要な書類を準備する
まず、確定申告を始める前に、事前に準備しておくものは以下の通りです。
- 本業の源泉徴収票
- マイナンバーカード
- ICカードリーダライタ(一部のスマホで代替可能)
- 会計ソフト(毎月帳簿を作成しておく)
給与所得者であるサラリーマンが副業の確定申告をする場合は、本業の会社から発行される源泉徴収票にもとづいてその情報を入力する項目があります。
とはいっても、基本的に記入が求められる項目は全て源泉徴収票に書いてある数字となるため、難しい作業ではありません。
ICカードリーダライタを購入していない場合は、スマホで代用することも可能です。
ただしすべての機種に対応しているわけではありませんので注意が必要です。
主な対応機種を以下に記載していますが、最新情報は国税庁のホームページでご確認ください。
e-Taxを利用する場合、会計ソフトを使用することでさらに簡単になります。
おすすめの会計ソフトを最後に紹介していますが、ここで紹介する会計ソフトはいずれもe-Taxに対応していますので、初めてでも簡単に確定申告を完了することができます。
ただし毎月の帳簿を作成していることが前提となるため、副業の収入が20万円を超える見込みとなった時点で会計ソフトの契約を行い、毎月の記録をつけることが必要です。
帳簿というと慣れない方もいるかもしれませんが、会計ソフトは知識がなくても簡単に帳簿を作成できるようになっています。
毎月帳簿さえ作成しておけば、会計ソフトのメニューから簡単に確定申告を行うことができますよ。
4-2.確定申告書を作成する
「国税庁確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」から作成を行います。
2年目以降は「保存データを利用して作成」から作成することができます。
源泉徴収票や会計ソフトで帳簿を準備しておくとスムーズです。
会計ソフトで毎月の帳簿を作成しておけば、自動的にe-Taxに必要な書類を作成してくれますので大変便利です。
会計ソフトから確定申告を行う手順はそれぞれ異なりますが、確定申告のメニューはどの会計ソフトでもわかりやすくなっています。
4-3.申告書の提出方法を選択して提出する
作成した申告書を提出する方法は3つあります。
◆e-Taxによる送信(マイナンバーカード方式)
⇒マイナンバーカードとICカードリーダライタ(スマホで代用可能)を利用してe-Taxを行う方法です。
◆e-Taxによる送信(ID・パスワード方式)
⇒事前にID/パスワード方式の届出を行っておき、届出完了通知に記載されたe-Tax用のID・パスワードを利用してe-Taxを行う方法です。
◆印刷して紙で提出する
⇒作成した申告書を印刷して、その書面を税務署に持参するか郵送して提出する方法です。
提出方法は上記の通り3つあるわけですが、この中で最も手間がかからないのは「マイナナンバーカード方式」です。
ただし当然マイナンバーカードを取得していることが前提です。
マイナンバーカードは今後も各種行政手続きで必要になりますので、もしまだ取得していない場合は早めに取得しておくことをおすすめします。
ID・パスワード方式による届出は、マイナンバーが普及するまでの暫定的対応とされています。
マイナンバーカードがない場合はID・パスワード方式で提出することも可能ですが、この「ID・パスワード方式」の場合は事前に届出を行っておく必要があります。
その届出は自宅からパソコンで行うこともできますが、この場合はやはりマイナンバーカードが必要となります。
マイナンバーカードを持っていない場合は、直接税務署に行って身分証明書を提示すればその場で届出を行うことも可能です。
3つ目の確定申告書の提出方法として、e-Tax上で申請せずに紙で提出することも可能です。
ただ、ここまでe-Taxを利用してきて、最後の提出の段階でアナログに切り替える必要性はほとんどありません。
そのままe-Taxで提出まで行うのがスマートだと思います。
おすすめの会計ソフト
最後の副業におすすめの会計ソフトをご紹介します。
サラリーマンが副業で確定申告をする場合は、以下の3つのどれかにすればまず間違いはありません。
会計ソフト | 利用料金 (税抜) | 申告 種別 | 無料 期間 | ポイント |
---|---|---|---|---|
Freee | 11,760円/年~ (980円/月) | 白・青 | 30日間 | 初心者でも簡単に確定申告が可能 ⇒スマホで完結したいならおすすめ |
マネーフォワードクラウド会計 | 9,600円/年~ (800円/月) | 白・青 | 30日間 | 初級者~上級者まで幅広いニーズに対応 ⇒幅広く会計業務に活用したい人におすすめ |
やよいの白色申告オンライン | 無料~ | 白 | ずっと | 22年連続売り上げ実績1位の定番ソフト ⇒何と言っても白色申告は無料! |
やよいの青色申告オンライン | 初年度無料 | 青 | 1年間 | ⇒青色でも1年間無料、次年度以降8,000円~ |
比較するポイントはいくつかありますが、重要なポイントとなる銀行口座やクレジットカードとの連携をはじめ、帳簿自動作成やe-Taxとの連携など、副業で必要となる基本機能にはいずれの会計ソフトも対応しています。
それでいて料金も毎月1,000円程度とリーズナブルな価格となっています。
弥生の白色申告に至っては、ずっと無料、青色申告でも初年度1年間無料という大サービスです。
Freeeでもマネーフォワードでも1か月の無料お試し期間がありますので、まずはこの無料期間を使って比較してみるといいでしょう。
日頃の帳簿付けから最後の確定申告までスマホで完了したい方は、特にスマホとの連携に力を入れているFreeeがおすすめです。
以上、サラリーマンが副業で確定申告をするための基礎知識と具体的な方法をご紹介しました。
確定申告をすると、副業とはいえ自分の力で事業を営んでいる実感がわくものです。
会計ソフトで毎月記録をつけておくととてもスムーズに処理することができますよ。
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