みなさんこんにちは。
いまさら聞けない、だけどサラリーマンとして知っておくべき世の中の常識について解説する 「ビジネスパーソン教養講座」にようこそ。
今回取り上げるのは「VUCA」です。
皆さんはVUCAという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ざっくり言うとVUCAとは、
いきなり会話の中で発すると意識高い系と言われそうですが、既に2019年に経済産業省がまとめた「人材競争力強化のための9つの提言」の中でも用いられています。
VUCAの時代にあっては、突然上司が
「VUCA時代の人材育成はどうあるべきか」
などと言い出すかもしれませんので、そんな時に慌てることがないように 今回はVUCAについて説明すると同時に、サラリーマンとして抑えておくべきポイントを ご紹介します。
VUCAとは
VUCAとは、
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
の4つの単語の頭文字をとった造語で、読み方は「ブーカ」です。
一言で言うと「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味します。
まさに世界の行動様式を一変させた新型コロナウイルスの出現は、予測が困難な出来事の 象徴のようです。
元々は1990年代後半に軍事用語として発生した言葉ですが、2010年代に入るとビジネス界においても急速に使われるようになり、2016年にダボス会議(世界経済フォーラム)で使われて注目されるようになりました。
日本でも2019年に経済産業省がまとめた「人材競争力強化のための9つの提言」に盛り込まれており、変化が激しく予測が難しい時代にあって、企業が国際競争力を維持するための提言がまとめられています。
そしてその中では、特に企業の経営戦略と人材マネジメントに重点が
置かれています。
VUCAの特徴
続いてVUCAが表すそれぞれの要素について具体例を交えてご紹介します。
2-1. Volatility(変動性)
変化の量・質が予測不可能であり、さらに動きが激しい状態を指します。
例えば、技術の発達とともに世界中に広がるスマホやそれを利用したSNSの発信など、現在では全世界のどの場所が情報発信の起点となってもおかしくない状態になっています。
そのような変化の激しい社会の動きを後追いしたり、時にはリードするビジネスの動きも激しさを増し、新たなマーケティングや営業手法も生まれています。
現在国内で圧倒的なユーザー数を誇るLINEやinstagramに代表されるSNSは、VUCA時代を代表する変化の激しいサービス分野です。
現在では誰でも簡単に音声LIVEが配信できる音声SNSも続々と登場していますので、数年後はどのような情勢になっているか予測するのが難しい状況です。
2-2. Uncertainty(不確実性)
地球規模の環境変化や新型コロナウィルスといった未知の疫病など、唐突に現れる事象を予測することは困難です。
日本国内でも終身雇用制度や年功序列など、従来型の雇用体制が崩壊しつつあり、成果主義での評価が一般的になりつつあります。
このように長い間継続した常識や習慣も次々に様変わりする社会では、あらゆる物事の不確実性が増し、将来の予測をすることが困難になっています。
2-3. Complexity(複雑性)
経済がグローバル化し各分野で技術開発が進む世界では、さまざまな要素・要因が複雑に絡み合い単純な解決策を導き出すのが難しい状態となっています。
日本で成功しているビジネスの中には海外でも広く展開しているケースもありますが、反対に全く通用していないケースもあります。
その背景には、国境を越えたグローバルな環境において、法律や文化、商習慣、さらには宗教の違いなどが複雑に絡み合っています。
現在では個人がさまざまなコミュニティと接点を持ち、国境を越えて情報を発信することができるようになったため、ビジネスはさらに複雑性を増しています。
2-4. Ambiguity(曖昧性)
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)が組み合わさることによって、因果関係が不明かつ前例のない出来事が増えています。
これによって多くの産業が過去の実績や成功例に基づいた方法が通用しない曖昧性の高い世界に移行しています。
そのため企業のマーケティング手法も従来とは違う多様な手法を用いることが必要となっています。
同時に消費者のニーズや価値観も多様化しているため、シェアモデルやサブスクリプションなど新たな販売手法で柔軟に対応する必要があります。
VUCA時代に求められる企業の在り方
VUCA時代にあって企業がまず意識しなければいけないのは次の3つのポイントです。
- グローバル化
- デジタル化
- 少子高齢化
いずれももはや言うまでもない要素ですが、これまで以上に変化の流れが速いため、従来の様式にこだわっている間に気づいたときには業界の概念を覆すような新しいサービスが生まれている可能性もあります。
一方でGAFAに代表されるように、各分野で特定の企業のプラットフォームに依存する割合が高くなっています。
従来のように数社がシェアを分けるのではなく、勝者が総どりする「winner takes all」の経済への移行が加速していくことも予想されます。
そして勝者は高度なデジタル技術を駆使し、さらに革新的なソリューションを生み出しシェアを拡大していくのです。
また、少子高齢化が進む社会では、価値観や働き方もさらに多様化するため、積極的かつ柔軟な人材活用戦略が求められます。
これらを踏まえ、企業は次のような意識を持つことが重要です。
3-1. ビジョンの明確化
本来ビジョンとは飾り物の言葉ではなく、社員全員の行動や判断基準にまで影響を与え、具体的な結果に結びついて初めて意味のあるものとなります。
単なるスローガンではなく、経営者やリーダーが強い信念をもってビジョンを発信することで、具体的な行動に結びつけていくことが必要となるわけです。
従来の固定観念や基準に捉われることなく、リーダーが強いメッセージを発信することでVUCA時代に競争力を発揮することができるのです。
3-2. 戦略的な人材マネジメント
今後は内部公平性を重視した「横並び方式」で経営人材を育成するのではなく、トップが先導して時代の変革を起こす人材を早期に登用し育てていく必要があるます。
また、多様なスキル、キャリアを持った人材のニーズに応じた柔軟な評価制度やキャリアパスを用意することも重要です。
世界を見ても、また歴史上も年功序列の組織が勝利を収めたことはありません。
3-3. アジャイル型組織
「アジャイル(agile)」という言葉をご存じでしょうか。
アジャイルとは「俊敏な、素早い」という意味で、「アジャイル開発」などのようにソフトウェアの分野で使われていました。
そこから転じて現在では、状況に応じて迅速に対応方法を変えていく、といった意味でも使われることがあります。
アジャイル型組織では、組織をフラットなチームの集合体と捉え、各社員が自分で考え判断することで、迅速な意思決定や素早い開発サイクルを可能にした組織モデルです。
これまでの日本の会社は、綿密な中期ビジョンなどを策定していましたが、より速いサイクルで見直しを行い、迅速に修正していくことが求められます。
VUCA時代にサラリーマンとして抑えておくべきポイント
最後に我々サラリーマンがVUCA時代を乗り切るために必要なスキルをご紹介します。
4-1. 自らの頭で考える力
あらゆるメディアに情報があふれ、個人は居ながらにして多くの情報に触れることができます。
一旦スマホで検索すればなんでもすぐに「答え」が表示され、you tubeでは動画で見本を見ることができる時代です。
そのような状況ではいつの間にか、ネットにある既存の回答を「見つけること」をスキルと勘違いしてしまう危険があります。
終身雇用制の崩壊など、我々サラリーマンは未知の時代に直面しています。
そのような中では自分の頭で考えて答えを導き出すことが必要になります。
4-2. 生涯学び続ける姿勢
リカレント教育という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
リカレント教育とは「生涯を通じて学び続けていくこと」を指します。
学校を卒業して仕事に就いても学ぶことをやめず、その後も「教育」と「就労」のサイクルを繰り返すことを意味しており、「学び直し」という言葉でも表現されます。
リカレント教育は、大学や高校で習得した知識をビジネスを経験した後にブラッシュアップしたり、最新の知識を習得することで再度仕事に活かすことを目的としています。
特に雇用形態が多様化し、人生100年時代と言われる中で就労年数が長期化するなか、個人が学び続けることの重要性がましています。
4-3. 自立する力
VUCA時代では、かつての終身雇用、年功序列は完全に終わりを告げています。
もしまだ、「自分は定年まで安泰」などと考えている方がいたらそんな考えは今すぐ捨てましょう。もはやメガバンクでさえ安泰ではありません。
これからの時代は、サラリーマンであっても会社に依存せず、自分の経験、知識、スキルで食べていく心構えが必要です。
まさに「脱会社依存」まったなしです。
これらのスキルを身につけるために何をすればいいのでしょうか。
英語、会計、webマーケティング、ライティング、プログラミング、、、いずれも正解です。
そして「教養」も忘れてはいけません。
「もう遅いだろう」と考えた瞬間そこで終わってしまいますからね。
以上VUCAについてご紹介しました。
この「ビジネスマン教養講座」も、少しでもみなさんの知識欲を刺激することができればいいと願っています。
そういうわけで、今後も少しでも役に立つ情報を発信していきたいと思います。
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