2021年に最高値を記録したビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)ですが、年末から急落し2022年になってから最高値の半分程度まで下落しています。
やはり仮想通貨は乱高下が激しい金融商品であることを再認識させられる値動きですね。
ちなみに仮想通貨という名称が一般的に定着していますが、仮想通貨ではなく「暗号資産」というのが日本政府や日銀での正式な呼び方です。
私「とあるサラリーマン」も2021年10月にイーサリアムを買い増したのでそれなりに気を揉んでいます。
ただ、過去の暗号資産の値動きを見ればこのくらいの幅は十分あり得る範囲です。
これからもさらに下がることもあるでしょう。
ただ、イーサリアムそのものの価値は何も損なわれてはいませんので、そこまで気にする必要はないと考えています。
このように値動きの激しい暗号資産ですが、本来堅実に長期分散投資をするべきサラリーマンはどう向き合うべきなのか、改めて考察してみたいと思います。
まずは前置き
まず最初に書いておきたいのは、投資判断は最終的には自分で行う、ということです。
「ネットやYouTuberでインフルエンサーが勧めているから買う」というのは完全に思考停止です。
どんなに有名なインフルエンサーでも未来の価格を予測することは不可能です。
当たり前のことですが、この点はしっかりと認識しておく必要があります。
暗号資産とブロックチェーンのおさらい
ここで改めて暗号資産とブロックチェーンについておさらいですが、まずブロックチェーンとは
「取引の記録を1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術」のことです。
そしてビットコインをはじめとする多くの仮想通貨がこのブロックチェーン技術を基盤に運用されています。
ビットコインとブロックチェーンは混同されがちですが、ビットコインをはじめとする暗号資産のベースとなっている技術基盤がブロックチェーンとなるわけです。
ブロックチェーンは日本語にすると「分散型台帳技術」といった意味ですが、次のような特徴があります。
- 管理者が存在する中央集権型ではなく参加者全員が自律した分散型システム
- 多くの参加者が別々に同じ記録を保持しているので不正を行うのがほとんど不可能
- 同じく分散しているのでシステムダウンが起きない、または影響が少ない
- 一度行った取引の記録を消去できず証拠として残り続ける
何故イーサリアムに投資するのか
結論から言うと、まずイーサリアムはいくつかの革新的な機能を備えている、という大前提があります。
そしてその技術を応用した金融システムが既に世界中に浸透しており、今後も拡大が見込まれるため、必然的にその基盤となっているイーサリアムの価値も向上していく、という事実があります。
それではなぜイーサリアムが投資するに値するのか紹介していますが、多少うんちくっぽくなりますので、不要な方は読み飛ばしてください。
最初に「イーサリアム」という言葉には2つの意味があることを紹介しておきます。
同じ言葉が書かれていても違う意味で理解してしまうと頭が混乱してしまいますよね。
「イーサリアム」の1つの意味は、普段一般的に使われている暗号資産(仮想通貨)そのもののことです。
「ETH」と表記され、暗号資産取引所で売買されている通貨です。
世間で使われる「イーサリアム」と言うとこの仮想通貨の意味がほとんどです。
そしてもう一つは、分散型アプリケーションを開発するためのプラットフォームのことを指します。
分散型アプリケーションというのは、DApps(Decentralized Applications)と言われるもので、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを動作させる仕組みを応用した非中央集権かつ分散型のアプリです、、、このあたりは難しいので飛ばしましょう。
とにかく現在では、DeFiと呼ばれる分散型金融システムやブロックチェーンゲームなど様々なアプリケーションが開発されているわけですが、そのほとんどがイーサリアムという名のプラットフォームを利用して構築されています。
この分散型アプリケーションは、取引が迅速、仲介手数料が不要、システムがダウンしない、といった優れたメリットがあるため、今後さらなる拡大が予想され、アプリケーションの主流になっていくと期待されています。
で、現在のところこの分散型アプリケーションの基盤ブロックチェーンとして圧倒的シェアを占めているのがイーサリアムであるわけです。
なぜイーサリアムが多くのシェアを占めるようになったかと言うと、イーサリアムがスマートコントラクト機能を実装しているからです。
スマートコントラクト機能とは、ざっくり言うと自動契約システムのことで、あらかじめ設定したある一定の条件を満たした場合に、自動的に契約が実行される仕組みのことです。
このスマートコントラクトにおいては、第三者を介さずに契約プロセスを自動化できるため、取引が迅速に行われて尚且つ人件費の削減にもつながるというメリットがあります。
これにより毎日無数の取引が行われている金融業界をはじめ、不動産取引や役所の契約手続きなど多くの業界に画期的な変化をもたらすことができます。
そのためスマートコントラクトの機能を持つイーサリアムには大きな期待が集まっているのです。
イーサリアムの価格を左右するトピック(ポジティブ編)
先ほど記載したように多くの期待が集まっているイーサリアムでも今後暗号資産としての価格がどのように変化していくかは誰にもわかりません。
ただ、2022年以降いくつかのポジティブ要因がありますのでご紹介します。
4-1. 米国でビットコインETFが承認されるかもしれない
アメリカでは2013年からビットコインの価格に連動したETFが申請されてきましたが、これまでのところ全て米証券取引委員会に却下されています。
現物価格に連動したETFを承認するには、ビットコインは市場の操作などのリスクが高過ぎるというのがその理由です。
ところでなぜ、ビットコインETFが誕生するかどうかが重要かと言うと、証券市場に上場されれば、ビットコインの売買に伴う利便性が向上し、安全性も高まるため取引量が拡大、結果として価格も上昇することが期待されているからです。
そしてビットコインETFが承認されることで仮想通貨全体の評価が上がり、2位のイーサリアムはもちろん仮想通貨全体の価格も上昇することが期待されているわけです。
そして実際に2021年2月にカナダで「パーパス・ビットコインETF」というETFが承認され、アメリカでも現物ではなく「先物」ですがビットコインETFが上場されました。
さらにカナダでは2021年に4つのイーサリアムETFも承認され、トロント証券所で取引が開始されています。
今後、アメリカでもビットコインだけでなくイーサリアムETFが承認されるようになれば、イーサリアムの価格は大きく上昇していくでしょう。
4-2. アップデートが予定されている
イーサリアムは、その完成までに4つの段階があり、それぞれのアップデートを経て完成されることが決定されています。
アップデートの最終段階はイーサリアム2.0と呼ばれますが、実は現在も完成しておらず、スケジュールも確定していません。
しかしこのアップデートにより、イーサリアムの課題とされているスケーラビリティ(取引処理の早さ)を強化することができます。
現在イーサリアムの取引量は増え続けているため、手数料の高騰や処理速度の低下といった問題が発生しているのです。
しかしアップデートが完了すれば、イーサリアムが抱えるそれらの課題が解決されるため、さらなるシェア拡大につながり必然的に暗号資産としての価値も向上していくと予想されています。
4-3. Defi市場が拡大している
イーサリアムがスマートコントラクト機能を実装したことは紹介しましたが、そのシステムを利用したDefiが発達しその市場が拡大しています。
Defiは「Decentralized Finance」の略で日本語では「分散型金融」と言います。
別の見方をすると、Defiが急拡大しイーサリアムを利用した取引数も急拡大したことで、先ほどのスケーラビリティーや手数料高騰という問題が発生しているとも言えます。
2022年もDeFi市場は拡大していくことが予想されていますが、Defiは主にイーサリアムのブロックチェーン上に構築されているため、Defiの拡大は必然的にイーサリアムの拡大につながるわけです。
この点からも、イーサリアムのアップデート完了に期待が集まっているのです。
4-4. 大企業群がバックアップしている
イーサリアムには多くの企業が投資をしています。
実際に2017年にはイーサリアムのスマートコントラクトをビジネスに活用することを目指して、イーサリアム企業連合が設立されました。
このイーサリアム企業連合には既に500以上の企業が参加しており、その中には誰もが知っているような超有名企業のも名を連ねています。
例えば国内ではトヨタ自動車、KDDI、三菱東京UFJ、海外ではマイクロソフト、JPモルガン、MasterCardなどです。
すなわちこのような超有名企業が提携するだけの将来性と信頼性がイーサリアムにはある、と言えます。
有名企業が出資していることがイーサリアムの信頼性を証明しているわけです
4-5. NFTの取引が拡大している
アメリカの有名な金融グループであるジェフリーズ投資銀行は、NFTの市場規模を2022年に約4兆円以上、2025年には約9兆1000億円と予測しています。
NFTは「非代替性トークン」と訳されますが、簡単に言えば唯一無二であることを証明できる技術のことです。
有名アーティストがNFTで作品を発表したり、有名スポーツ選手のカードがNFTで発売されたりしてニュースになることも増えています。
サッカーのネイマール選手がNFTでデジタルアート作品を購入したのも話題になりましたね。
NFTの取引拡大には、メタバースの急激な広がりも関係しています。
メタバースとは、インターネット上に展開される3次元の仮想空間のことです。
「あつまれどうぶつの森」に代表されるゲーム空間がわかりやすい例ですね。
NFTはメタバース内のゲームでも活用され、その市場も急拡大しているのです。
これまでは、ゲームなどの仮想空間で所持しているアイテムはゲーム内でしか利用できませんでしたが、NFTを利用することで自分の所有権を証明し、第三者と売買することもできるようになります。
実際に2021年の1年間で、メタバース内の不動産が5億ドル以上の売上を記録していたことも発表されています。
そのほとんどは、The Sandbox、Decentraland、Cryptovoxels、Somniumの4大メタバースで占められているそうです。
ゲーム内の土地売買以外にも、自作の品物を売ったり獲得したアイテムを売ったりしてメタバース内のゲームでお金を稼ぐこともできます。
そなるとメタバースにさらに人が集まり、結果としてNFTを利用した取引もさらに拡大していきます。
そしてこのNFTはブロックチェーン上で発行されるわけですが、多くのNFTがブロックチェーンの中でもイーサリアム上で発行されているので、イーサリアムもさらに拡大することが見込まれています。
イーサリアムの価格を左右するトピック(ネガティブ編)
期待づくめのイーサリアムですが、もちろんリスクもあります。
最後に今後予想されるリスクを2つご紹介します。
5-1. 仮想通貨に対する規制が強化される可能性がある
仮想通貨の歴史は、法定通貨に比べるとまだまだ誕生したばかりの発展途上の状態です。
それでいて取引量が世界で拡大しているため、各国の金融当局によるなんらかの規制がかけられる可能性もささやかれています。
実際に、中国は仮想通貨の取引を停止するように金融機関へと指示を出したことが報道されています。
他にもDefiなど、ブロックチェーン技術を利用した金融取引も何らかの規制がかけられる可能性もあります。
もし国家による規制が強化された場合は、暗号資産の取引量の減少につながりその結果価格が下落することが懸念されているのも事実です。
その場合は、イーサリアムも影響を逃れることはできないでしょう。
5-2. 大量の売却による価格変動
暗号資産の市場は、既存の金融市場と比べるとその規模はまだ小さいものです。
そのため、大量保有者の売却などによる価格への影響が大きく、それがいつ起こってもおかしくない状況です。
また、暗号資産を保有する国を取り巻く国際情勢の変化により、大量の売却などにつながる可能性もゼロではありません。
暗号資産市場は歴史が浅く市場規模もまだ小さいことから、常にこのようなリスクがあるわけです。
サラリーマンは暗号資産に投資すべきか?
繰り返しになりますが、すべての投資は自己判断が前提です。
リスクの大きい暗号資産への投資はなおさらです。
しかし、私「とあるサラリーマン」も100万円程度イーサリアムを保有しています。
それはここで紹介したようなイーサリアムの優れた機能をベースにした将来性に期待しているためです。
確かにリスクもありますが、ブロックチェーンの技術が金融界にもたらした革新性は投資に値すると判断しているわけです。
一般的なサラリーマンでももっと多くの資金を投資している方もいると思いますが、自分にとってはこのくらいがポートフォリオの中でちょうどよいバランスとなっています。
ちなみにSANDBOXのLANDは迷いましたが購入に踏み切れませんでした、、、
もちろん基本的なスタンスとしては、サラリーマンは長期分散投資をするべきです。
投資の9割は長期分散投資でいいのではないでしょうか。
ただ、ほんの一部のポートフォリオとして暗号資産に投資するのも夢があると思います。
その場合、
「いくら買うべきか」という質問が出ると思いますが、
「ゼロになっても気持ちが乱れない程度」
というのが1つの答えになります。
よく「生活に影響がない範囲」という表現もありますが、暗号資産に投資する割合はそれよりも抑えるべきです。
生活に影響はではなくても、ゼロになったときに気持ちの整理がつけられる範囲がいいでしょう。
ちょっとあいまいな表現なので具体的な数字にすると、もちろん人によりますがその額は概ね10万円~100万円の間ではないでしょうか。
私「とあるサラリーマン」は、それが100万円だということです。
購入する場合は、やはり時期を分散して買い増していくのがいいと思います。
正直これがゼロになるとかなり気持ちは乱れますが(笑)、期待を込めてお金のかかる趣味だと思って割り切っています。
ちなみに暗号資産を購入する際は、取り扱っている種類が多く積立投資もできるコインチェックを利用しています。
マネックスグループの運営で安心なのと、ビットコインのつみたてやETF取引も簡単にできます。
特に初めて暗号資産を売買したい方は500円から始められるのでおすすめです。
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以上、イーサリアムを中心にした暗号資産の展望についてご紹介しました。
2022年も暗号資産の価格から目が離せませんね。
メタバースについてはこちらの記事もどうぞ
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